書評

『アマルティア・センの世界―経済学と開発研究の架橋』(晃洋書房)

  • 2017/07/24
アマルティア・センの世界―経済学と開発研究の架橋 / 絵所 秀紀,山崎 幸治
アマルティア・センの世界―経済学と開発研究の架橋
  • 著者:絵所 秀紀,山崎 幸治
  • 出版社:晃洋書房
  • 装丁:単行本(243ページ)
  • ISBN-10:4771014892
  • ISBN-13:978-4771014893
内容紹介:
経済学の領域を超え、開発論・政治・思想・倫理などにも影響を与えるセンコノミクス。その基本概念を、詳細な用語解説とともに解き明かす。
グローバル化と共に、南北間で所得格差がかつてない広がりを見せつつある。センが共感をもって迎えられたのは、現代における南側の「貧困」のありようにリアルに迫ったからだ。貧困とは、社会基盤の貧しさゆえ、同じ所得を得たとしても先進国民になしうることができない人々の状態というのである。

こうしたセンの主張については『貧困の克服−アジア発展の鍵は何か』(集英社新書)に平易に説かれているが、その先の著書を読もうとすると、社会選択論にかんする超抽象的な議論から貧困の具体的な計測基準まで、あまりの専門性にめまいを覚えてしまう。

本書は市場経済論・社会選択論・不平等論・開発論・インド論・ジェンダー論などを専攻する十人の日本人による論文集。専門性の背後にあるセンの全体像を浮かび上がらせようという試みがありがたい。なかでも、センは道徳哲学者アダム・スミスの再来なのだという指摘には得心がいく。

貧困の克服―アジア発展の鍵は何か  / アマルティア セン
貧困の克服―アジア発展の鍵は何か
  • 著者:アマルティア セン
  • 翻訳:大石 りら
  • 出版社:集英社
  • 装丁:新書(189ページ)
  • 発売日:2002-01-01
  • ISBN-10:4087201279
  • ISBN-13:978-4087201277
内容紹介:
アジアで初めてノーベル経済学賞を受賞したセン博士は、日本やアジア再生の鍵は、かつての経済至上主義路線ではなく、人間中心の経済政策への転換であると力強く提唱する。国連も注目する「人… もっと読む
アジアで初めてノーベル経済学賞を受賞したセン博士は、日本やアジア再生の鍵は、かつての経済至上主義路線ではなく、人間中心の経済政策への転換であると力強く提唱する。国連も注目する「人間の安全保障」という概念の可能性とは何か?また、「剥奪状態」「潜在能力」「人間的発展」といったキーワードが示唆する、理想の経済政策とは?四つの講演論文を日本の一般読者向けにオリジナル編集した本書は、セン理論の入門書であるとともに、いまだに貧困、暴力、深刻な人権侵害にあえぐ人類社会を見つめなおすための必読書でもある。

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アマルティア・センの世界―経済学と開発研究の架橋 / 絵所 秀紀,山崎 幸治
アマルティア・センの世界―経済学と開発研究の架橋
  • 著者:絵所 秀紀,山崎 幸治
  • 出版社:晃洋書房
  • 装丁:単行本(243ページ)
  • ISBN-10:4771014892
  • ISBN-13:978-4771014893
内容紹介:
経済学の領域を超え、開発論・政治・思想・倫理などにも影響を与えるセンコノミクス。その基本概念を、詳細な用語解説とともに解き明かす。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2004年7月11日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

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