書評

『人生は楽ではない。そこが面白いとしておく。―武者小路実篤画文集』(求龍堂)

  • 2022/06/12
人生は楽ではない。そこが面白いとしておく。―武者小路実篤画文集 / 武者小路 実篤
人生は楽ではない。そこが面白いとしておく。―武者小路実篤画文集
  • 著者:武者小路 実篤
  • 出版社:求龍堂
  • 装丁:大型本(123ページ)
  • 発売日:2006-02-01
  • ISBN-10:476300607X
  • ISBN-13:978-4763006073
内容紹介:
自分を励まし、自分の哀しみを、自分で乗り越える。“人を信じる力”“額に汗する大切さ”“どこまでも前向きな姿勢”を謳った、痛いほどに美しく、あまりに定番の「あの言葉」が、いま心を貫く。
私は武者小路実篤の絵を、いくぶん軽視していて、今回このようにとりあげるについても、「近頃、あの野菜の絵を見なくなったな」と思ったらひさしぶりに出ているので、面白半分に買ってきたのだ。

そして、最初から一枚ずつ、見ていったらちょっと考え方が変わった。

とても面白い絵か、といえばそうは面白くないのだ。が、よく見ると、ていねいに、とてもよく見て描いてあるというのがわかる絵で、そして、それが味わいになってくるような絵だ。

私は、武者小路実篤が、描き慣れたカボチャやジャガイモをどしどし描きとばして、その横にもっともらしいことを書いているのだとばかり思っていたが、なかなかそんなものではない、というのがわかった。

武者小路実篤は、カボチャやジャガイモを描くのに、その都度、それを目の前に配置して、じっくり見つめ、下書きをせずじかに描いたそうだ。

武者小路実篤は「何處が美くしいか知らねども南瓜と馬鈴薯は我が画の先生」と、カボチャとジャガイモの絵の余白に、字で書いている。

「馬鈴薯はマチスより美しい」と言い、「僕はあたりまえの事きり言いたくない」と書いた。

「見るとかきたくなる。かきたくなればかくなり」と、絵の横に発表している。

私は何度も頁を繰っている。
人生は楽ではない。そこが面白いとしておく。―武者小路実篤画文集 / 武者小路 実篤
人生は楽ではない。そこが面白いとしておく。―武者小路実篤画文集
  • 著者:武者小路 実篤
  • 出版社:求龍堂
  • 装丁:大型本(123ページ)
  • 発売日:2006-02-01
  • ISBN-10:476300607X
  • ISBN-13:978-4763006073
内容紹介:
自分を励まし、自分の哀しみを、自分で乗り越える。“人を信じる力”“額に汗する大切さ”“どこまでも前向きな姿勢”を謳った、痛いほどに美しく、あまりに定番の「あの言葉」が、いま心を貫く。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2006年05月28日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

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