書評

『いろはにコンペイトウ―Kurihara Toy Bottle Collection』(にじゅうに)

  • 2022/03/27
いろはにコンペイトウ―Kurihara Toy Bottle Collection / 栗原 英次
いろはにコンペイトウ―Kurihara Toy Bottle Collection
  • 著者:栗原 英次
  • 出版社:にじゅうに
  • 装丁:単行本(158ページ)
  • 発売日:2005-02-01
  • ISBN-10:4931398294
  • ISBN-13:978-4931398290
内容紹介:
大正末期から昭和にかけて大流行したおもちゃに、金平糖の入った壜がありました。この金平糖壜はピストルや飛行機、人形などにかたどられ、中身を食べた後におもちゃとして遊べるので、子供た… もっと読む
大正末期から昭和にかけて大流行したおもちゃに、金平糖の入った壜がありました。この金平糖壜はピストルや飛行機、人形などにかたどられ、中身を食べた後におもちゃとして遊べるので、子供たちに大人気。しかし、金平糖壜は壊れやすいガラスやセルロイドで作られていたため、現存する物は少なく、今や骨董市でも掘り出し物となっています。
本書では、その金平糖壜の日本一のコレクターとして注目を集める栗原英次氏の愛蔵品を一挙に初公開。アンティークの小さな金平糖壜の光と影が織りなすノスタルジックな世界を、写真とエッセイでご紹介します。南蛮渡来の砂糖菓子・金平糖の歴史も、豊富な図版を添えて、わかりやすく解説。また、全ての金平糖壜に英語のスペックを付け、外国の方も楽しめるビジュアルブックとなっています。
さらに、2004年9月の朝日新聞書評で南伸坊氏が絶賛した『素と形』(ラトルズ刊)の名コンビ、自然光を活かした小泉佳春の写真と、山口信博によるおしゃれな装幀により、洗練された1冊となりました。
菓子入り玩具壜(びん)というのだそうだ。このビンの中にコンペイトウをつめて売っていた。

大正末期から昭和初期にかけてと昭和20年代後半とに、この菓子入り玩具は大ブームであったという。

昭和20年代後半なら、私は三歳から八歳で、記憶があっておかしくないけれども、まったく覚えていない。ないけれども、とても懐かしいような、ほのぼのした気分になるのは、その気泡の入った粗末な型ガラスの稚拙な味わいだろう。

コドモの喜びそうな形、をめざしているので、動物や乗り物、キューピーやテッポウ、ちょうちんやバイオリン、水筒や懐中時計、と書きとめるだけで思わず顔のスジがゆるんでいる。

そうしたものの形が、それぞれみなかわいいのだ。これを集めた著者や、写真を撮った小泉佳春や、レイアウトやデザインをした山口信博や小柳津久実といった人々が、そのモノを前にほほえんでいる様子が、つたわってくる本だ。

コレクションものの、こうした本にありがちの、ツメコミ羅列式でない、洒落た撮影やレイアウトが、おさなく粗末なモノを宝石のように見せている。
いろはにコンペイトウ―Kurihara Toy Bottle Collection / 栗原 英次
いろはにコンペイトウ―Kurihara Toy Bottle Collection
  • 著者:栗原 英次
  • 出版社:にじゅうに
  • 装丁:単行本(158ページ)
  • 発売日:2005-02-01
  • ISBN-10:4931398294
  • ISBN-13:978-4931398290
内容紹介:
大正末期から昭和にかけて大流行したおもちゃに、金平糖の入った壜がありました。この金平糖壜はピストルや飛行機、人形などにかたどられ、中身を食べた後におもちゃとして遊べるので、子供た… もっと読む
大正末期から昭和にかけて大流行したおもちゃに、金平糖の入った壜がありました。この金平糖壜はピストルや飛行機、人形などにかたどられ、中身を食べた後におもちゃとして遊べるので、子供たちに大人気。しかし、金平糖壜は壊れやすいガラスやセルロイドで作られていたため、現存する物は少なく、今や骨董市でも掘り出し物となっています。
本書では、その金平糖壜の日本一のコレクターとして注目を集める栗原英次氏の愛蔵品を一挙に初公開。アンティークの小さな金平糖壜の光と影が織りなすノスタルジックな世界を、写真とエッセイでご紹介します。南蛮渡来の砂糖菓子・金平糖の歴史も、豊富な図版を添えて、わかりやすく解説。また、全ての金平糖壜に英語のスペックを付け、外国の方も楽しめるビジュアルブックとなっています。
さらに、2004年9月の朝日新聞書評で南伸坊氏が絶賛した『素と形』(ラトルズ刊)の名コンビ、自然光を活かした小泉佳春の写真と、山口信博によるおしゃれな装幀により、洗練された1冊となりました。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2005年03月20日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

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