菓子入り玩具壜(びん)というのだそうだ。このビンの中にコンペイトウをつめて売っていた。
大正末期から昭和初期にかけてと昭和20年代後半とに、この菓子入り玩具は大ブームであったという。
昭和20年代後半なら、私は三歳から八歳で、記憶があっておかしくないけれども、まったく覚えていない。ないけれども、とても懐かしいような、ほのぼのした気分になるのは、その気泡の入った粗末な型ガラスの稚拙な味わいだろう。
コドモの喜びそうな形、をめざしているので、動物や乗り物、キューピーやテッポウ、ちょうちんやバイオリン、水筒や懐中時計、と書きとめるだけで思わず顔のスジがゆるんでいる。
そうしたものの形が、それぞれみなかわいいのだ。これを集めた著者や、写真を撮った小泉佳春や、レイアウトやデザインをした山口信博や小柳津久実といった人々が、そのモノを前にほほえんでいる様子が、つたわってくる本だ。
コレクションものの、こうした本にありがちの、ツメコミ羅列式でない、洒落た撮影やレイアウトが、おさなく粗末なモノを宝石のように見せている。