書評
『我楽多じまん―なごみの懐かし雑貨』(祥伝社)
カワイイ。っていうホメ言葉、一時は流行語のようにつかわれていたけれども、いま、かなりニュアンスを含んだ広く使える形容詞になっているかもしれない。
『我楽多じまん』は、中野翠さんが気に入って、買いあつめた、愛嬌(あいきょう)のある、トボケた、チープで、なつかしいような、そうしたモノたちの写真と、愛ある解説文のつづられた写真集である。
ひとことでいうと、つまりこれらのモノがとても「カワイイ」のだ。
たとえば山小屋のカタチをした状差しとか、貝殻で作られた帆船とか、飾り模様のくりぬかれた木工の本箱とか、ちょっと昔の室内には、どこの家にもあったような、そうしたモノが、時代をくぐりぬけてきた今見ると、とてもあたたかい、心和ませる力を持っているのに気づく。
おみやげこけし、というジャンルは、いまでは衰退してしまったものらしい。いま、これを採算の合う商品にするとしたら外国人に作ってもらうしかないだろう。
そうして、そうなれば、決して、これらの持っている、愛嬌は再現できないはずだ。昭和の時代がもっていた美質がここに現れているからである。中野翠はまちがいなくこのジャンルの目利きだ。
『我楽多じまん』は、中野翠さんが気に入って、買いあつめた、愛嬌(あいきょう)のある、トボケた、チープで、なつかしいような、そうしたモノたちの写真と、愛ある解説文のつづられた写真集である。
ひとことでいうと、つまりこれらのモノがとても「カワイイ」のだ。
たとえば山小屋のカタチをした状差しとか、貝殻で作られた帆船とか、飾り模様のくりぬかれた木工の本箱とか、ちょっと昔の室内には、どこの家にもあったような、そうしたモノが、時代をくぐりぬけてきた今見ると、とてもあたたかい、心和ませる力を持っているのに気づく。
おみやげこけし、というジャンルは、いまでは衰退してしまったものらしい。いま、これを採算の合う商品にするとしたら外国人に作ってもらうしかないだろう。
そうして、そうなれば、決して、これらの持っている、愛嬌は再現できないはずだ。昭和の時代がもっていた美質がここに現れているからである。中野翠はまちがいなくこのジャンルの目利きだ。
朝日新聞 2005年2月13日
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