書評

『我楽多じまん―なごみの懐かし雑貨』(祥伝社)

  • 2022/08/07
我楽多じまん―なごみの懐かし雑貨 / 中野 翠
我楽多じまん―なごみの懐かし雑貨
  • 著者:中野 翠
  • 出版社:祥伝社
  • 装丁:単行本(126ページ)
  • 発売日:2004-11-01
  • ISBN-10:4396410670
  • ISBN-13:978-4396410674
内容紹介:
子どもの頃になじんだり、憧れたりしたもの。ダサくても、チャチでも、真実のもの、と思える、愛おしきモノたち。トキメキの“中野ガラクタワールド”を一挙公開。
カワイイ。っていうホメ言葉、一時は流行語のようにつかわれていたけれども、いま、かなりニュアンスを含んだ広く使える形容詞になっているかもしれない。

『我楽多じまん』は、中野翠さんが気に入って、買いあつめた、愛嬌(あいきょう)のある、トボケた、チープで、なつかしいような、そうしたモノたちの写真と、愛ある解説文のつづられた写真集である。

ひとことでいうと、つまりこれらのモノがとても「カワイイ」のだ。

たとえば山小屋のカタチをした状差しとか、貝殻で作られた帆船とか、飾り模様のくりぬかれた木工の本箱とか、ちょっと昔の室内には、どこの家にもあったような、そうしたモノが、時代をくぐりぬけてきた今見ると、とてもあたたかい、心和ませる力を持っているのに気づく。

おみやげこけし、というジャンルは、いまでは衰退してしまったものらしい。いま、これを採算の合う商品にするとしたら外国人に作ってもらうしかないだろう。

そうして、そうなれば、決して、これらの持っている、愛嬌は再現できないはずだ。昭和の時代がもっていた美質がここに現れているからである。中野翠はまちがいなくこのジャンルの目利きだ。
我楽多じまん―なごみの懐かし雑貨 / 中野 翠
我楽多じまん―なごみの懐かし雑貨
  • 著者:中野 翠
  • 出版社:祥伝社
  • 装丁:単行本(126ページ)
  • 発売日:2004-11-01
  • ISBN-10:4396410670
  • ISBN-13:978-4396410674
内容紹介:
子どもの頃になじんだり、憧れたりしたもの。ダサくても、チャチでも、真実のもの、と思える、愛おしきモノたち。トキメキの“中野ガラクタワールド”を一挙公開。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2005年2月13日

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