書評
『原寸美術館 画家の手もとに迫る』(小学館)
面白い。企画の勝利だ。絵を原寸で間近に見ることのできる画集。なんでもないことのように見えて、この画集は今までの画集と全く違うメディアになったと私は思う。
絵の見方がガラリと変わるはずだ。教養主義的な、あるいは文学的な鑑賞法から、目が楽しむ、発見の喜びを引き出す画期的画集である。
写真というのは、相似形をあらゆるサイズで再現できるメディアである。が故に、原寸で再現されることが、むしろ希(まれ)なことになる。
原寸であることの意味を、忘れさせてしまうメディアなのだった。そして書物という形がそれをさらに助長した。
この画集を一目見れば、原寸であることの意味が、次々に明らかになるはずだ。発見のタネがゴロゴロしている。
同じように克明な写実画であるベラスケスの「ラス・メニーナス」と、ダヴィッドの「皇帝ナポレオン1世と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠」の二枚のおどろくべき違い。
マネとルノワールの段違いなテクニック、意外にチャチなダリ、原寸だとちょっと変なアンドリュー・ワイエス。
原寸だとわかるフェルメールの絵のナゾ、日本画みたいなボッティチェリ、気が合いそうもないゴッホとゴーガン。とにかく抜群に面白い。
絵の見方がガラリと変わるはずだ。教養主義的な、あるいは文学的な鑑賞法から、目が楽しむ、発見の喜びを引き出す画期的画集である。
写真というのは、相似形をあらゆるサイズで再現できるメディアである。が故に、原寸で再現されることが、むしろ希(まれ)なことになる。
原寸であることの意味を、忘れさせてしまうメディアなのだった。そして書物という形がそれをさらに助長した。
この画集を一目見れば、原寸であることの意味が、次々に明らかになるはずだ。発見のタネがゴロゴロしている。
同じように克明な写実画であるベラスケスの「ラス・メニーナス」と、ダヴィッドの「皇帝ナポレオン1世と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠」の二枚のおどろくべき違い。
マネとルノワールの段違いなテクニック、意外にチャチなダリ、原寸だとちょっと変なアンドリュー・ワイエス。
原寸だとわかるフェルメールの絵のナゾ、日本画みたいなボッティチェリ、気が合いそうもないゴッホとゴーガン。とにかく抜群に面白い。
朝日新聞 2005年07月03日
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