書評

『赤い雪 普及版』(青林工藝舎)

  • 2022/01/16
赤い雪 普及版 / 勝又 進
赤い雪 普及版
  • 著者:勝又 進
  • 出版社:青林工藝舎
  • 装丁:コミック(224ページ)
  • 発売日:2011-11-22
  • ISBN-10:4883793567
  • ISBN-13:978-4883793563
内容紹介:
4コママンガの雄はストーリー漫画の雄になり難いにも関わらずそれを打破した作品、マンガ本来の絵の素晴らしさも継承しているとしている(2006年度第35回日本漫画家協会賞選考員評) 久しぶり… もっと読む
4コママンガの雄はストーリー漫画の雄になり難いにも関わらずそれを打破した作品、マンガ本来の絵の素晴らしさも継承しているとしている(2006年度第35回日本漫画家協会賞選考員評) 久しぶりに優れた作品にお目にかかり、嬉しかった。ぜひ一度読んでいただきたい、と切に願わずにはいられない。劇画を見る目が、きっと変わるはずである(つげ義春)「カスタムコミック」1980年3月号より つげさんの『紅い花』にはビックリしましたが、アンタ、この勝又進、『桑いちご』にもオドロキました。オモチロイ!(水木しげる)『赤い雪』2005年版オビより 読後、一編ずつが二時間映画を見たようなボリュームで思い出される。沢山の人に読んでほしい。(南伸坊)「朝日新聞」,11/20/2005 この十数年、マンガ家たちは日常生活の延長上に社会を描くか、架空の未来の中に社会を描くことしかしてこなかった。ほんの少し前、まだ近代化・均質化という強大なローラーに押しつぶされない社会では、澱み、屈折し、それ故に噴出しそうにもなる情念を人は抱えていた。(呉智英)『赤い雪』2005年版解説より -------------------------- つげ(義春)さんが、何かから逃避して行き着く場所として地方の鄙びた場所を描くのに対して、勝又さんはそこに住み着いてる土着の人間の視点で描いてますよね。(中略)生れ育った土地で生きて、死んでいく人たちを描いている。(池上遼一) ハッタリを身上とする「劇画」の落とし穴にハマっていないのが何よりも素晴らしい。(中略)もっともっと読まれるべきだ。(辰巳ヨシヒロ) 勝又さんの描く漫画に嫉妬や羨望を抱いていた。自分には無い静けさと品の良さに憧れた。(つげ忠男) 各コマの隅々まで楽しませてもらった。そして読後思ったことは、人が生きていくのは哀しいことだ、人にはできるだけ親切にしたい、という当り前のようなことだった。(佐々木マキ) 諦観したその目は厳しくも、優しく現世にそそがれ作品となって結実していることを今回、改めて彼の作品の数々を読み、理解した。(林静一) このやわらかい空気は他の誰にも描けない。(湯浅学) ※以上コメント『アックス48号』(青林工藝舎・2005)より
勝又進作品集『赤い雪』が選りすぐりの短編をあつめて上梓された。

すべて20ページ前後の短編マンガ十編だが、それぞれのマンガにたっぷりと時間が充実していて、読後、一編ずつが二時間映画を見たようなボリュームで思い出される。

忘れていた記憶がたぐりよせられたように、その思い出が切実なのは、解説で呉智英氏が見事に指摘したように、近代化・均質化の強大なローラーに押しつぶされる前の、日本人の生き方が見事に描かれているからに違いない。

いま、昭和30年代をモチーフにした映画や、博物館や、インテリアが、若い人の間で人気である。もの珍しさもあるだろうが、そこに滲み出てくるものに実は気がついているのだと私は思う。

昭和30年代に勝又進は東北で牛追いをする少年だった。そして昭和40年代には、東京で原子核物理学の将来を嘱望される研究修士であって「ガロ」のマンガ家だった。

実は昭和30年代まで日本人は土俗的な生き方を完全に手放したわけではなかった。勝又さんの描いたマンガ、これから描こうとしているマンガの意義が、この作品集を見れば感じとれるはずだ。理屈ではなく素直な感動として。

沢山の人に読んでほしい。
赤い雪 普及版 / 勝又 進
赤い雪 普及版
  • 著者:勝又 進
  • 出版社:青林工藝舎
  • 装丁:コミック(224ページ)
  • 発売日:2011-11-22
  • ISBN-10:4883793567
  • ISBN-13:978-4883793563
内容紹介:
4コママンガの雄はストーリー漫画の雄になり難いにも関わらずそれを打破した作品、マンガ本来の絵の素晴らしさも継承しているとしている(2006年度第35回日本漫画家協会賞選考員評) 久しぶり… もっと読む
4コママンガの雄はストーリー漫画の雄になり難いにも関わらずそれを打破した作品、マンガ本来の絵の素晴らしさも継承しているとしている(2006年度第35回日本漫画家協会賞選考員評) 久しぶりに優れた作品にお目にかかり、嬉しかった。ぜひ一度読んでいただきたい、と切に願わずにはいられない。劇画を見る目が、きっと変わるはずである(つげ義春)「カスタムコミック」1980年3月号より つげさんの『紅い花』にはビックリしましたが、アンタ、この勝又進、『桑いちご』にもオドロキました。オモチロイ!(水木しげる)『赤い雪』2005年版オビより 読後、一編ずつが二時間映画を見たようなボリュームで思い出される。沢山の人に読んでほしい。(南伸坊)「朝日新聞」,11/20/2005 この十数年、マンガ家たちは日常生活の延長上に社会を描くか、架空の未来の中に社会を描くことしかしてこなかった。ほんの少し前、まだ近代化・均質化という強大なローラーに押しつぶされない社会では、澱み、屈折し、それ故に噴出しそうにもなる情念を人は抱えていた。(呉智英)『赤い雪』2005年版解説より -------------------------- つげ(義春)さんが、何かから逃避して行き着く場所として地方の鄙びた場所を描くのに対して、勝又さんはそこに住み着いてる土着の人間の視点で描いてますよね。(中略)生れ育った土地で生きて、死んでいく人たちを描いている。(池上遼一) ハッタリを身上とする「劇画」の落とし穴にハマっていないのが何よりも素晴らしい。(中略)もっともっと読まれるべきだ。(辰巳ヨシヒロ) 勝又さんの描く漫画に嫉妬や羨望を抱いていた。自分には無い静けさと品の良さに憧れた。(つげ忠男) 各コマの隅々まで楽しませてもらった。そして読後思ったことは、人が生きていくのは哀しいことだ、人にはできるだけ親切にしたい、という当り前のようなことだった。(佐々木マキ) 諦観したその目は厳しくも、優しく現世にそそがれ作品となって結実していることを今回、改めて彼の作品の数々を読み、理解した。(林静一) このやわらかい空気は他の誰にも描けない。(湯浅学) ※以上コメント『アックス48号』(青林工藝舎・2005)より

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2005年11月20日

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