書評

『我々の恋愛』(講談社)

  • 2025/11/01
我々の恋愛 / いとう せいこう
我々の恋愛
  • 著者:いとう せいこう
  • 出版社:講談社
  • 装丁:文庫(608ページ)
  • 発売日:2019-11-14
  • ISBN-10:4065176514
  • ISBN-13:978-4065176511
内容紹介:
世界十五ヵ国の恋愛学者による会議で「二十世紀最高の恋愛」に選ばれたのは、日本の片隅に住む若い男女の、世にも奇妙で不器用な恋だった。調査委員会で報告された、奇想天外な恋の真相とは。切なくもノスタルジックな恋愛ドラマに荒唐無稽なユーモアを鏤めて描く、時代の転換点を生きた恋人たちの物語。

回りくどく不器用な男女

いとうせいこう、渾身の長篇は、世界中の「恋愛学者」が山梨に集まって開いた「二十世紀の恋愛を振り返る十五ヵ国会議」が舞台。名だたる学者たちが選んだ「二十世紀最高の恋愛」は……まあなんとも、地味な、日本の片隅に住んでいる男女の不器用な恋愛だった。

東京の大型遊園地「あらはばきランド」に勤める華島徹と、群馬県桐生市でパン製造の会社に勤めつつ新しい酵母の開発にいそしむ遠野美和――二人が出会うきっかけは、美和が徹に間違い電話をかけたことだった。

ジリジリするほど回りくどい彼らの恋愛はしかし、そのたとたどしさ、コミュニケーションの不全ぶりにおいて、日本語でこれまで書かれた小説とは異質な読後感を残す。


我々の恋愛 / いとう せいこう
我々の恋愛
  • 著者:いとう せいこう
  • 出版社:講談社
  • 装丁:文庫(608ページ)
  • 発売日:2019-11-14
  • ISBN-10:4065176514
  • ISBN-13:978-4065176511
内容紹介:
世界十五ヵ国の恋愛学者による会議で「二十世紀最高の恋愛」に選ばれたのは、日本の片隅に住む若い男女の、世にも奇妙で不器用な恋だった。調査委員会で報告された、奇想天外な恋の真相とは。切なくもノスタルジックな恋愛ドラマに荒唐無稽なユーモアを鏤めて描く、時代の転換点を生きた恋人たちの物語。

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2016年4月14日

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