書評

『氷海のウラヌス』(祥伝社)

  • 2017/07/01
氷海のウラヌス / 赤城 毅
氷海のウラヌス
  • 著者:赤城 毅
  • 出版社:祥伝社
  • 装丁:単行本(413ページ)
  • 発売日:2010-06-15
  • ISBN-10:4396633416
  • ISBN-13:978-4396633417
内容紹介:
昭和十六年九月二十五日、一隻の最新鋭艦が密かに横須賀を出港した。その名は「ウラヌス」、対米戦必勝をもくろむ日本海軍の特使とヒトラーへの"贈り物"を乗せていた。目指すはドイ… もっと読む
昭和十六年九月二十五日、一隻の最新鋭艦が密かに横須賀を出港した。その名は「ウラヌス」、対米戦必勝をもくろむ日本海軍の特使とヒトラーへの"贈り物"を乗せていた。目指すはドイツ占領下のノルウェー。しかし、行く手には暴風雪吹き荒れる北極海、そして、圧倒的な敵の海空軍が待ち受けている。列強の策謀渦巻く非情の海を、国運を賭して独り行くウラヌスの運命は?太平洋戦争勃発の陰に隠された誇り高き男たちの物語-比類なき冒険サスペンスの傑作。

最終海戦の場面、出色の迫力

1941年の秋、日米開戦を目前に控えた日本は、開戦した場合に三国同盟の同盟国、ヒトラー・ドイツを戦いに引き込むべく、極秘作戦を開始する。秘密兵器、〈九三式魚雷〉をドイツに送り込み、その高性能をヒトラーにアピールして、参戦を促す作戦〈暁工作〉である。

作戦遂行のため、ハイケン大佐を艦長とする、ドイツの仮装巡洋艦ウラヌスに、海軍の堀場大佐と望月大尉が同乗、問題の魚雷を積んでドイツに向かう。すでに、ドイツは英ソ両国と交戦状態にあり、いつ敵艦と遭遇するか分からない。しかし日本は、いまだ英米と開戦しておらず、ドイツ艦に日本の軍人が同乗していると分かれば、国際問題になる。

物語は、ウラヌスが途中の海で氷山や敵艦と戦いながら、ドイツへたどり着くまでの苛烈(かれつ)な航海を、サスペンス豊かに描き出す。ハイケン、堀場、望月それぞれのキャラクターが、鮮やかに立ち上がってくる。最後の海戦で〈九三式魚雷〉を、命令に反して使うかどうかの葛藤(かっとう)も含め、戦闘場面は近ごろ出色の迫力だ。ドイツ現代史の専門家という著者の面目躍如たるものがある。
氷海のウラヌス / 赤城 毅
氷海のウラヌス
  • 著者:赤城 毅
  • 出版社:祥伝社
  • 装丁:単行本(413ページ)
  • 発売日:2010-06-15
  • ISBN-10:4396633416
  • ISBN-13:978-4396633417
内容紹介:
昭和十六年九月二十五日、一隻の最新鋭艦が密かに横須賀を出港した。その名は「ウラヌス」、対米戦必勝をもくろむ日本海軍の特使とヒトラーへの"贈り物"を乗せていた。目指すはドイ… もっと読む
昭和十六年九月二十五日、一隻の最新鋭艦が密かに横須賀を出港した。その名は「ウラヌス」、対米戦必勝をもくろむ日本海軍の特使とヒトラーへの"贈り物"を乗せていた。目指すはドイツ占領下のノルウェー。しかし、行く手には暴風雪吹き荒れる北極海、そして、圧倒的な敵の海空軍が待ち受けている。列強の策謀渦巻く非情の海を、国運を賭して独り行くウラヌスの運命は?太平洋戦争勃発の陰に隠された誇り高き男たちの物語-比類なき冒険サスペンスの傑作。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2010年7月25日

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