解説
『終生ヒトのオスは飼わず』(文藝春秋)
米原万里が鬼籍に入ってから編まれたエッセイ集である。大好評を博した『ヒトのオスは飼わないの?』の続編と、家族について書かれた文章が収められている。なかに「終生ヒトのオスは飼わず」という不思議な文章が収められているが、これは「ご自分の死亡記事をお書きください」という注文に応じて綴られたもので、〈……(解剖したところ)肺に大量の猫の毛が詰まって〉いたという一節がある。ほんとうにイヌネコを愛した一生だった。そして仕事を愛し、自由を愛し、家族を愛して、愛にあふれた一生だった。