解説
『真昼の星空』(中央公論新社)
まことに残念なことだが、「見ても見えず聞いても聞こえず」というのが人間の常である。米原万里はこの壁を破ろうとして必死になっていた。〈現実には存在するのに、多くの人の目には見えないものがある。逆に圧倒的な現実と思われるものが、単なるこけおどしだったりする。目に見える現実の裏に控える、まぎれもないもう一つの現実。〉(中公文庫版十二ページ)
つまり――「この世の真実を抉り出す」、それが自分の仕事だ、それも笑いをもって抉り出す――彼女はそう心を決めていた。その決心が題名にあらわれている。目をこらせば、たしかに昼でも星は見えるのだ。
つまり――「この世の真実を抉り出す」、それが自分の仕事だ、それも笑いをもって抉り出す――彼女はそう心を決めていた。その決心が題名にあらわれている。目をこらせば、たしかに昼でも星は見えるのだ。
初出メディア

米原万里展「ロシア語通訳から作家へ」図録 2008年10月刊
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