解説
『心臓に毛が生えている理由』(角川学芸出版)
すぐれた書き手のもとには、ひとりでにすぐれた編集者たちが集まる。これが文筆業界の基本則の一つである。米原万里も優秀な編集者に支えられて仕事をした。彼女が世を去ったあとも、編集者たちは、目には見えないが、じつに組織立ったやり方で散らばったエッセイを集め、ぞくぞくと本にしていった。本書もそのなかの一冊である。
抽象的な人間は存在しない。かならず〈どこかの国で生まれ、あることばで世界を認識し、自己表現する術を覚えて大人になっていくわけですから、そこから完全に離れることは不可能なんですよ。〉(二七三ページ)。
だから彼女は母国を愛しつづけ、日本語を使いつづけ、そしてよく書きつづけた。それが彼女の一生だった。
【この解説が収録されている書籍】
抽象的な人間は存在しない。かならず〈どこかの国で生まれ、あることばで世界を認識し、自己表現する術を覚えて大人になっていくわけですから、そこから完全に離れることは不可能なんですよ。〉(二七三ページ)。
だから彼女は母国を愛しつづけ、日本語を使いつづけ、そしてよく書きつづけた。それが彼女の一生だった。
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初出メディア

米原万里展「ロシア語通訳から作家へ」図録 2008年10月刊
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