解説
『米原万里の「愛の法則」』(集英社)
米原万里は講演の名手でもあった。なによりも声がよく通ったし、発語は明瞭だった。常時一千はたくわえているという小咄を連射して客席を沸かし、ノリのいい話しぶりで聴衆に時間のたつのを忘れさせた。「日本のマスコミは英語しかできないので、英語の情報ばかり入れている」というような歯に衣を着せぬ言い方に聴衆は盛大な拍手を送ったが、講演にはいつも彼女の生涯の主題である〈人間はつねに他人と意思を交わし合いたいと願っている存在である〉という思いが込められていた。本書にはその講演録が、四篇収められている。
【この解説が収録されている書籍】
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