書評

『ざらざらをさわる』(晶文社)

  • 2020/10/12
ざらざらをさわる / 三好 愛
ざらざらをさわる
  • 著者:三好 愛
  • 出版社:晶文社
  • 装丁:単行本(185ページ)
  • 発売日:2020-06-26
  • ISBN-10:4794971834
  • ISBN-13:978-4794971838
内容紹介:
なめらかには進めなかったけど、とんでもないでこぼこでもなかったざらざらたち独自の世界観で人気を集め、数多くの装画やグッズデザインなどを手掛けるイラストレーター、三好愛による初のイラスト&エッセイ集。くだりのエスカレーターが苦手、あの子がお味噌汁とご飯に降格しますように、卒業直… もっと読む
なめらかには進めなかったけど、とんでもないでこぼこでもなかったざらざらたち

独自の世界観で人気を集め、数多くの装画やグッズデザインなどを手掛けるイラストレーター、三好愛による初のイラスト&エッセイ集。
くだりのエスカレーターが苦手、あの子がお味噌汁とご飯に降格しますように、卒業直前に突然会えなくなった同級生、子供のころ好きだった食べ物「物体A」、人のよい空き巣に遭遇する、『スラムダンク』22巻を繰り返し読む、ドライヤーが動くのをただ見ている……。

身近な日常から淡々とながらも少しずつ退出していく様子は、読みながら半歩外へ小旅行しているような感覚を味わえる。
33篇の文章と33点の挿画、さらにカラーのミニストーリーも収録!
ことばからイラストの着想を得るという著者の「ことば」と「イラスト」の宇宙へ。

【もくじ】
ざらざらをさわる

まぎれたいのに
さだまらない
じょうずに集中
記憶ずるずる
だいすきだけど
逃がせない
わかりあえない
気づけばそばに
読みすがる
朝が憎いよ
ごはんは眠る
呪いの先に
フカッとさせる
名前をうばう
受け止める
ひとりでしゃべる
寝ててもいいよ
アイスのやさしさ
つながらないと
人のよい空き巣
動きつづける
噓みたい
その場しのぎの
食べるのを見る
せまってくるよ
赤福襲来
疑似恋愛
私のゆくえ
言葉の性格
あからさまな幸せについて
かなわない
どなたですか
やわらかいもの

あとがき

すごくでこぼこではない、でもなめらかでもない

本を通じて初めてその人を知る醍醐味のひとつに、「やった、信頼できる人に出会えた」という興奮がある。もちろん、会ったことなんてないのだが、そこに連なっている文字列、エピソード、気持ちに、ピタッと体がはまるのだ。

大学生のころ、レンタル屋さんにDVDを借りに行くと、パッケージ裏のあらすじ紹介を読み、「この映画を見て得られる感慨と失われる二時間はどっちが上なんだろう」と考えた結果、「結局なにも借りれないまま、手ぶらで家に帰ったりしていました」とある。 ああ、もう、この人、信頼できる、と興奮する。気が合う、共感する、なんてものではない。そういうものをもうちょっと上回ったところにある信頼。イラストレーターによる初のエッセー&イラスト集に綴られている、ちょっとした感情の吐露がすうっと体に入ってくる。

「あからさまな幸せは苦手なのですが、地に足がついた嬉しいことが起こりそうだと、この機会を逃してはならないと様々な手段で底上げをする癖があります」

底上げをする癖、私にもあります。しかも、底上げしていることを誰にもバレたくない、と周囲を警戒する癖もあります。……というように、対話したくなる本というより、対話が成立してしまう本という感じ。

なぜタイトルに「ざらざら」という感触を盛り込んだのか。「なめらかには進めなかったけれど、とんでもないでこぼこでもなかったな、という部分」、つまり、「記憶のざらざらとした部分」を書いたのだそう。

日々生きていても、ドラマチックなことなんて、そんなにない。かといって退屈でもない。こういう「ざらざら」を、いつまでもさわりながら生きていく。
ざらざらをさわる / 三好 愛
ざらざらをさわる
  • 著者:三好 愛
  • 出版社:晶文社
  • 装丁:単行本(185ページ)
  • 発売日:2020-06-26
  • ISBN-10:4794971834
  • ISBN-13:978-4794971838
内容紹介:
なめらかには進めなかったけど、とんでもないでこぼこでもなかったざらざらたち独自の世界観で人気を集め、数多くの装画やグッズデザインなどを手掛けるイラストレーター、三好愛による初のイラスト&エッセイ集。くだりのエスカレーターが苦手、あの子がお味噌汁とご飯に降格しますように、卒業直… もっと読む
なめらかには進めなかったけど、とんでもないでこぼこでもなかったざらざらたち

独自の世界観で人気を集め、数多くの装画やグッズデザインなどを手掛けるイラストレーター、三好愛による初のイラスト&エッセイ集。
くだりのエスカレーターが苦手、あの子がお味噌汁とご飯に降格しますように、卒業直前に突然会えなくなった同級生、子供のころ好きだった食べ物「物体A」、人のよい空き巣に遭遇する、『スラムダンク』22巻を繰り返し読む、ドライヤーが動くのをただ見ている……。

身近な日常から淡々とながらも少しずつ退出していく様子は、読みながら半歩外へ小旅行しているような感覚を味わえる。
33篇の文章と33点の挿画、さらにカラーのミニストーリーも収録!
ことばからイラストの着想を得るという著者の「ことば」と「イラスト」の宇宙へ。

【もくじ】
ざらざらをさわる

まぎれたいのに
さだまらない
じょうずに集中
記憶ずるずる
だいすきだけど
逃がせない
わかりあえない
気づけばそばに
読みすがる
朝が憎いよ
ごはんは眠る
呪いの先に
フカッとさせる
名前をうばう
受け止める
ひとりでしゃべる
寝ててもいいよ
アイスのやさしさ
つながらないと
人のよい空き巣
動きつづける
噓みたい
その場しのぎの
食べるのを見る
せまってくるよ
赤福襲来
疑似恋愛
私のゆくえ
言葉の性格
あからさまな幸せについて
かなわない
どなたですか
やわらかいもの

あとがき

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初出メディア

サンデー毎日

サンデー毎日 2020年8月2日号

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