書評

『テレビリサーチャーという仕事』(青弓社)

  • 2021/02/01
テレビリサーチャーという仕事 / 高橋 直子
テレビリサーチャーという仕事
  • 著者:高橋 直子
  • 出版社:青弓社
  • 装丁:単行本(192ページ)
  • 発売日:2020-09-29
  • ISBN-10:4787234757
  • ISBN-13:978-4787234759
内容紹介:
情報バラエティー、教養、クイズ、ドラマなど、番組の制作過程で必要になる多種多様なリサーチをするテレビリサーチャー。その仕事の実態をインタビューなども踏まえて明らかにして、テレビへの信頼をファクトに基づいた取材で支える社会的な意義を照らす。

正確でネタになる情報を地道に探し揃えていく

テレビ番組を制作する上で必要不可欠な仕事が、リサーチャー。クイズ番組、旅番組、情報番組……番組に見合う情報を正確に用意していく。

実際にリサーチャーを務める著者が作成した『世界遺産』(TBS系)のリサーチ資料の一部が掲載されているが、登録されている理由、詳細な地図、基礎情報、見どころ、監修者候補などが並んでいる。図書館などで調べ上げた資料をベースに、正確性に加え、番組のネタになるアイデア出しを行う。

とりわけ、健康情報などは出どころの怪しい場合も多いし、著しく間違った情報を流した場合、番組の存続にかかわってしまう。多忙な制作スタッフが「これ、ネットにこう書いてあるんだけど、この資料は何でないの?」などと聞いてくる。危ういスピードで作られ続ける中、的確な情報を揃(そろ)える。

リサーチャー同士の座談会が興味深い。番組を作る側は、すぐに「テレビ初」といった希少価値で、煽ったものを作りたがる。「『日本初』とか『世界一』とかホント疑いなさいと、特にこれからテレビで働くかもしれない学生さんには伝えたい」(髙村敬一)とある。情報を揃えるだけではなく、その精度を保証する仕事なのだ。

視聴者の受け取り方も変わってきた。「直感的・生理的」「部分的」「感情移入・発散」の傾向が強い。しかしながら、そういった「見方を促進してきたのはテレビ自身でもある」。

制作する側と見る側の、どちらが正しくて、どちらが間違っている、といった議論ではなく、相互にコミュニケーションをとり続けている。その上で色濃くなってきた「メディア不信」をどのように覆していくか。正確にリサーチする、という当たり前の行為の深度を知った。
テレビリサーチャーという仕事 / 高橋 直子
テレビリサーチャーという仕事
  • 著者:高橋 直子
  • 出版社:青弓社
  • 装丁:単行本(192ページ)
  • 発売日:2020-09-29
  • ISBN-10:4787234757
  • ISBN-13:978-4787234759
内容紹介:
情報バラエティー、教養、クイズ、ドラマなど、番組の制作過程で必要になる多種多様なリサーチをするテレビリサーチャー。その仕事の実態をインタビューなども踏まえて明らかにして、テレビへの信頼をファクトに基づいた取材で支える社会的な意義を照らす。

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初出メディア

サンデー毎日

サンデー毎日 2020年11月1日号

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