書評
『Kobe 1995:The Earthquake Revisited』(ベアリン出版)
阪神大震災後の街の様子や、建て物が無惨に破壊された様子を見て、災害の恐ろしさ、自然の力の大きさに改めて驚かされた。
その一方、これらの写真から別のことも感じた。不謹慎な言い方だが、一枚一枚と眺めているうちに、不思議に写真の魅力のようなものに取り憑かれてしまった。地震の怖さ、被害の大きさなら、素人でも撮れるであろう。しかし、これらの写真は崩壊した建物の、もう一つの表情をとらえた。
人工物の滅びにもある種の美学があることに気付き、はっとした。廃嘘を撮り続けた写真家にとって、破壊された建物の外壁、剥き出しになって歪んだ鉄骨や鉄筋、崩れ落ちたコンクリートの塊は、建築物の自己表象の一様式なのかもしれない。
【この書評が収録されている書籍】
その一方、これらの写真から別のことも感じた。不謹慎な言い方だが、一枚一枚と眺めているうちに、不思議に写真の魅力のようなものに取り憑かれてしまった。地震の怖さ、被害の大きさなら、素人でも撮れるであろう。しかし、これらの写真は崩壊した建物の、もう一つの表情をとらえた。
人工物の滅びにもある種の美学があることに気付き、はっとした。廃嘘を撮り続けた写真家にとって、破壊された建物の外壁、剥き出しになって歪んだ鉄骨や鉄筋、崩れ落ちたコンクリートの塊は、建築物の自己表象の一様式なのかもしれない。
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