国語辞典が改訂されるたびに新たに採録されたことばが話題になる。だが改訂で削除されることばもある。使われなくなったり、編集方針が変わったりして。本書は歴代の『三省堂国語辞典』とその前身『明解国語辞典』から削除されたことば1000項目を集めたもの。
懐かしいことばがたくさん並んでいる。「こギャル」「地味婚/派手婚」「ニュートラ」「握り金玉(ぎんたま)」……。情報通信に関することばには、世の中の変化の激しさを痛感する。たとえば「指止め」。「電話のダイヤルを右に回したとき、指を受けとめる部分」。1974年の第二版で採録され、01年の第五版で消えた。電話はダイヤル式からプッシュボタンに、そしてスマホの時代に。「赤電話」の意味は「店先・駅の構内にすえつけて保管・取りあつかいを委託する、赤い色の公衆電話」。
ことばを並べるだけでなく、いろいろと工夫がある。各項目は旧版の紙面をそのまま載せているので、書体の変化が一目瞭然。「掲載版ゲージ」で各版の掲載時期もわかる。「頑張り屋」のように一代限りのものもあれば、「産家」のように復活してまた消えたことばもある。