書評

『悪文の構造 ――機能的な文章とは』(筑摩書房)

  • 2025/01/17
悪文の構造 ――機能的な文章とは / 千早 耿一郎
悪文の構造 ――機能的な文章とは
  • 著者:千早 耿一郎
  • 出版社:筑摩書房
  • 装丁:文庫(304ページ)
  • 発売日:2024-10-11
  • ISBN-10:4480512632
  • ISBN-13:978-4480512635
内容紹介:
文章を書くコツは芸術的な名文を書くことではない。読みにくい「悪文」を書かないことである。では悪文はどのようにすれば防げるのか。本書は日本語文の構造的特徴を分析したうえで、書物・新… もっと読む
文章を書くコツは芸術的な名文を書くことではない。読みにくい「悪文」を書かないことである。では悪文はどのようにすれば防げるのか。本書は日本語文の構造的特徴を分析したうえで、書物・新聞・公的文書などから100を超える実例を取り上げ、「機能的な文章」へと洗練させる技法を紹介する。長文を避ける、結論を先に述べる、必要な主語を省略しない、接続詞を濫用しない、やさしい言葉を使う…。読み手に寄り添った明快な指針とわかりやすい図解で悪文克服への道を示す本書は、時代を超えて通用する文章技術書である。

目次
1(機能的な文章とは;日本語文の構造)
2(長文は悪文;短いことはいいことだ;なにが主格か ほか)
3(文章のリズム;機能的なものこそ美しい)
読みにくい文章を書かないための実用書である。悪文の実例がたくさん出てくる。法律の文章もあれば新聞記事もある。有名な作家の小説もある。なぜその文章が読みにくいのか、文章の構造を図解で示す。

悪文にはいくつかのパターンがある。たとえば、主格と述語の関係がわかりにくい文章。あるいは、語の修飾関係がわかりにくい文章。悪文を防ぐには、文章をできるだけ短くして、語と語の関係に注意を払う。語の選択も重要だ。法律の条文や機械の取扱説明書、クレジットカードの規約文などを書く人には、ぜひ本書を熟読していただきたい。きわめて実用的な本だ。

さて、若いころのぼくなら、「なるほどなあ」と感心し、さっそく実践しようと思っただろう。でも、現在のぼくは、悪文の実例をひとつひとつ読みながら「これはこれで、味があるなあ」と感じる。たとえば著者は野坂昭如の『火垂るの墓』を引用し、文章のリズムがあり、雰囲気はあるが、<論理はひどく不透明である>という。だけど野坂の文章はちょっと読むだけで野坂の声が頭の中で聞こえてくる。悪文だからこその魅力だろうか。
悪文の構造 ――機能的な文章とは / 千早 耿一郎
悪文の構造 ――機能的な文章とは
  • 著者:千早 耿一郎
  • 出版社:筑摩書房
  • 装丁:文庫(304ページ)
  • 発売日:2024-10-11
  • ISBN-10:4480512632
  • ISBN-13:978-4480512635
内容紹介:
文章を書くコツは芸術的な名文を書くことではない。読みにくい「悪文」を書かないことである。では悪文はどのようにすれば防げるのか。本書は日本語文の構造的特徴を分析したうえで、書物・新… もっと読む
文章を書くコツは芸術的な名文を書くことではない。読みにくい「悪文」を書かないことである。では悪文はどのようにすれば防げるのか。本書は日本語文の構造的特徴を分析したうえで、書物・新聞・公的文書などから100を超える実例を取り上げ、「機能的な文章」へと洗練させる技法を紹介する。長文を避ける、結論を先に述べる、必要な主語を省略しない、接続詞を濫用しない、やさしい言葉を使う…。読み手に寄り添った明快な指針とわかりやすい図解で悪文克服への道を示す本書は、時代を超えて通用する文章技術書である。

目次
1(機能的な文章とは;日本語文の構造)
2(長文は悪文;短いことはいいことだ;なにが主格か ほか)
3(文章のリズム;機能的なものこそ美しい)

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2024年12月7日

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