書評

『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』(光文社)

  • 2024/12/30
まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書 / 阿部幸大
まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書
  • 著者:阿部幸大
  • 出版社:光文社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(176ページ)
  • 発売日:2024-07-24
  • ISBN-10:4334103804
  • ISBN-13:978-4334103804
内容紹介:
人文学における論文執筆には、基礎となる習得必須の知識と技術が存在する。しかし、それを現在の大学教育はうまくカリキュラム化できていない。どんな条件を満たせば論文は成立したことにな… もっと読む
人文学における論文執筆には、基礎となる習得必須の知識と技術が存在する。しかし、それを現在の大学教育はうまくカリキュラム化できていない。

どんな条件を満たせば論文は成立したことになるのか、どの段階でどの程度の達成が要求されるのか、そしてそのためにはどのようなトレーニングが必要なのか。‪──‬そもそも、いったい人文学の論文とはなんのために書かれるのか?‬

本書では、期末レポートや卒論レベルから世界のトップジャーナルまで、論文執筆に必要な実力を養うための方法論を網羅。原理編・実践編・発展編・演習編の四段階にわたり、独学で学術論文を準備・執筆・出版するために必要なすべてを提供する。

類書の追随をまったく許さない、アカデミック・ライティング本の新定番。
人文系の論文・レポートの書き方を指南するマニュアル本である。主な対象は学生・大学院生、さらには駆け出しの研究者といったところだろうか。そのような本をあえてここに取り上げるのは、より広範な読者にとって有用な内容が含まれていると判断したからだ。

「まったく新しい」とは惹句にしてもずいぶん威勢がいいが、その意気やよし。著者はアメリカで博士号を取得、学会誌にばりばり論文を書き続ける少壮気鋭の研究者である。従来の類書の多くが、上から目線で年長の権威者が規則を一方的に伝授するスタイルだったのに対して、本書は、ちょっと年上の頼りになる「兄貴分」が一緒にトレーニングしてくれる、といった風だ。

価値ある「主張」の作り方、「段落」の構成法など、本書の大部分はアメリカ仕込みの実用的テクニックに関わるもので、日本の人文学につきまといがちな精神論から吹っ切れた爽快さがある。しかし、本書の最後では、人文学は何のために必要なのか、そもそもそれは人生とどう結びつくのか、といった根本問題が堂々と展開され、本書の射程の予想外の大きさを示している。
まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書 / 阿部幸大
まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書
  • 著者:阿部幸大
  • 出版社:光文社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(176ページ)
  • 発売日:2024-07-24
  • ISBN-10:4334103804
  • ISBN-13:978-4334103804
内容紹介:
人文学における論文執筆には、基礎となる習得必須の知識と技術が存在する。しかし、それを現在の大学教育はうまくカリキュラム化できていない。どんな条件を満たせば論文は成立したことにな… もっと読む
人文学における論文執筆には、基礎となる習得必須の知識と技術が存在する。しかし、それを現在の大学教育はうまくカリキュラム化できていない。

どんな条件を満たせば論文は成立したことになるのか、どの段階でどの程度の達成が要求されるのか、そしてそのためにはどのようなトレーニングが必要なのか。‪──‬そもそも、いったい人文学の論文とはなんのために書かれるのか?‬

本書では、期末レポートや卒論レベルから世界のトップジャーナルまで、論文執筆に必要な実力を養うための方法論を網羅。原理編・実践編・発展編・演習編の四段階にわたり、独学で学術論文を準備・執筆・出版するために必要なすべてを提供する。

類書の追随をまったく許さない、アカデミック・ライティング本の新定番。

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2024年8月24日

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