書評

『あっぱれから遖まで ある国字の盛衰』(幻冬舎)

  • 2024/05/27
あっぱれから遖まで ある国字の盛衰 / 西井 辰夫
あっぱれから遖まで ある国字の盛衰
  • 著者:西井 辰夫
  • 出版社:幻冬舎
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(168ページ)
  • 発売日:2022-07-15
  • ISBN-10:4344940369
  • ISBN-13:978-4344940369
内容紹介:
日本独自の感動詞に秘められた、驚きの歴史を解き明かす「あっぱれ」・「あはれ」・「天晴」・「喃」・「遖」遷り変わっていくことばの不思議に、面白い! が止まらない。言語の深奥に迫る、… もっと読む
日本独自の感動詞に秘められた、
驚きの歴史を解き明かす「あっぱれ」・「あはれ」・「天晴」・「喃」・「遖」
遷り変わっていくことばの不思議に、面白い! が止まらない。
言語の深奥に迫る、究極の一冊。

もともと「あっぱれ」は「あわれ」の強調形である。
しかし現代では、「あっぱれ」は称賛を、
「あわれ」は悲哀や憐憫を表すためだけに使われている。
なぜ真逆の意味を持つようになったのか?
「あっぱれ」の漢字表記で使われる奇妙な字・「遖」の成り立ちは?
簡単なようで難しい「あっぱれ」の由来に迫ったとき、日本語の真髄が見えてくる。

序章
第一章 あっぱれ
第二章 天晴
第三章 遖
終章
「あはれ」が「あっぱれ」になったのは本当か。テーマはこれだけだが、読めば痛快きわまる一冊だ。

探索はまず音韻から。ハ行は昔pだったのが奈良時代にΦ(フ)になった。それがやがてwに。だから「私は」はワタシワと読む。現行のハ行の発音は一貫性がないのだ。

促音の法則。強めるのに、息をとめたあと破裂音にする。やはり↓やっぱりの類だ。ファがパになるか。定説はアファレがまずアッファレになって、アッパレになったとする。そんなはずはない、と著者は反論。丹念で合理的な推論が読ませる。

ニホン/ニッポンはどうか。これは逆で、まず日本と国号を決めたら長安でジッポンと読まれた。それが日本でニッポンになり、穏やかな言い方のニホンもできた。だから元気のよいときはニッポン、チャチャチャで、ふだんはニホン国憲法だ。

著者は九十歳で本書に着手。ビジネスマンを退いたあと国字や訓(よ)み方を研究し著書も多い。促音(っ)は昔表記されなかった。かな表記と発音の関係もやっかいだ。感動一般を表す「あはれ」が称賛を表す「あっぱれ」に進化した理由を、集合心理の奥底に探る探偵小説さながらだ。
あっぱれから遖まで ある国字の盛衰 / 西井 辰夫
あっぱれから遖まで ある国字の盛衰
  • 著者:西井 辰夫
  • 出版社:幻冬舎
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(168ページ)
  • 発売日:2022-07-15
  • ISBN-10:4344940369
  • ISBN-13:978-4344940369
内容紹介:
日本独自の感動詞に秘められた、驚きの歴史を解き明かす「あっぱれ」・「あはれ」・「天晴」・「喃」・「遖」遷り変わっていくことばの不思議に、面白い! が止まらない。言語の深奥に迫る、… もっと読む
日本独自の感動詞に秘められた、
驚きの歴史を解き明かす「あっぱれ」・「あはれ」・「天晴」・「喃」・「遖」
遷り変わっていくことばの不思議に、面白い! が止まらない。
言語の深奥に迫る、究極の一冊。

もともと「あっぱれ」は「あわれ」の強調形である。
しかし現代では、「あっぱれ」は称賛を、
「あわれ」は悲哀や憐憫を表すためだけに使われている。
なぜ真逆の意味を持つようになったのか?
「あっぱれ」の漢字表記で使われる奇妙な字・「遖」の成り立ちは?
簡単なようで難しい「あっぱれ」の由来に迫ったとき、日本語の真髄が見えてくる。

序章
第一章 あっぱれ
第二章 天晴
第三章 遖
終章

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2022年8月27日

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