書評

『在宅ひとり死のススメ』(文藝春秋)

  • 2024/11/01
在宅ひとり死のススメ / 上野 千鶴子
在宅ひとり死のススメ
  • 著者:上野 千鶴子
  • 出版社:文藝春秋
  • 装丁:新書(216ページ)
  • 発売日:2021-01-20
  • ISBN-10:4166612956
  • ISBN-13:978-4166612956
内容紹介:
「慣れ親しんだ自宅で、自分らしい幸せな最期を迎える方法」を提案。「わたしには家族がいませんので、基本、ひとりで暮らしています。現在72歳。このまま人生の下り坂をくだり、要介護認… もっと読む
「慣れ親しんだ自宅で、自分らしい幸せな最期を迎える方法」を提案。


「わたしには家族がいませんので、基本、ひとりで暮らしています。
現在72歳。このまま人生の下り坂をくだり、要介護認定を受け、
ひとり静かに死んで。ある日、亡くなっているのを発見されたら、
それを『孤独死』とは、呼ばれたくない。それが本書の執筆動機です」
(上野千鶴子)

「在宅ひとり死、おおいに結構。事実、世の中こうなってきている」養老孟司氏・推薦!
「ひとり静かに在宅死。わたしもそうありたいと願っています」下重暁子氏・絶賛!


・「孤独死」あらため「在宅ひとり死」へ
・慣れ親しんだ自宅で、自分らしい最期を迎えるしあわせ
・ウエノが徹底取材!「おひとりさまの最期」最新事情
・医師、看護士、介護士、看取り士をコーディネートする方法
・とくにガンなら「在宅ひとり死」が、ほぼ100パーセント可能
・病院死は、医療が貴重だった昭和の名残り
・「施設」に入れたがるのは、本人ではなく家族
・ずばり、家で死ぬために必要な費用はいくらか
・「老後の幸せ度」は「おひとりさま」が高く、「老夫婦ふたり」世帯が低い
・たとえ認知症になっても「在宅ひとり暮らし」で問題がない理由
・安楽死、尊厳死は正義か
・介護保険をどう活用すべきか
・もちろん私は「在宅ひとり死」でゆくつもり
若いときは、老後のことなんか考えなかった。自分は中年になる前に死ぬだろうと思っていた。ところが予想は外れ、まだ生きている。50歳を過ぎたころから、漠然と老後が気になってきた。子供もいないし、「きずな」とか「ふれあい」が大嫌いなので、「孤独死、上等!」と思っている。

上野千鶴子『在宅ひとり死のススメ』(文春新書・880円)は、『おひとりさまの老後』(法研・2007年)に始まる「おひとりさま」シリーズの総仕上げ的な本。「孤独死」を「在宅ひとり死」と言いかえたところが画期的だ。孤独死は悲惨で哀れ、というイメージを払拭する。読んでいて「ひとりで死ぬ方がハッピー!」という気分になってくる。

「老後はおひとりさまが一番幸せ」というデータが出てくる。大阪府下で開業する医師が調査した結果だ。独居高齢者のほうが、同居高齢者よりも生活満足度が高いというのである。意外なようだが、少し考えると納得できる。複数の人間がひとつ屋根の下に住めば不平不満も生じるし、我慢を強いられることもある。

もっとも、この種のデータはあくまで全体の傾向。個人にあてはまるかどうかは、また別の話だ。独居がつらいという人もいれば、同居が快適だという人もいるだろう。

おひとりさまでも最期は(施設や病院ではなく)住み慣れたわが家で、と上野は言う。これ、少し前までは、ちょっと難しかった。それを変えたのが介護保険だ。訪問介護や訪問医療などさまざまな制度をうまく組み合わせれば、在宅ひとり死は難しくない、というのである。介護保険は「子供(実は嫁)が親の面倒を見る」という悪習を過去のものにした。日本の介護保険、世界レベルでもそう悪くはないらしい。

ところがその誇るべき介護保険は、2000年のスタート以来、3年に1回の改定ごとに使い勝手が悪くなっているという。わたしが死ぬころにはボロボロになっているかも。これ以上の改悪は許しません!
在宅ひとり死のススメ / 上野 千鶴子
在宅ひとり死のススメ
  • 著者:上野 千鶴子
  • 出版社:文藝春秋
  • 装丁:新書(216ページ)
  • 発売日:2021-01-20
  • ISBN-10:4166612956
  • ISBN-13:978-4166612956
内容紹介:
「慣れ親しんだ自宅で、自分らしい幸せな最期を迎える方法」を提案。「わたしには家族がいませんので、基本、ひとりで暮らしています。現在72歳。このまま人生の下り坂をくだり、要介護認… もっと読む
「慣れ親しんだ自宅で、自分らしい幸せな最期を迎える方法」を提案。


「わたしには家族がいませんので、基本、ひとりで暮らしています。
現在72歳。このまま人生の下り坂をくだり、要介護認定を受け、
ひとり静かに死んで。ある日、亡くなっているのを発見されたら、
それを『孤独死』とは、呼ばれたくない。それが本書の執筆動機です」
(上野千鶴子)

「在宅ひとり死、おおいに結構。事実、世の中こうなってきている」養老孟司氏・推薦!
「ひとり静かに在宅死。わたしもそうありたいと願っています」下重暁子氏・絶賛!


・「孤独死」あらため「在宅ひとり死」へ
・慣れ親しんだ自宅で、自分らしい最期を迎えるしあわせ
・ウエノが徹底取材!「おひとりさまの最期」最新事情
・医師、看護士、介護士、看取り士をコーディネートする方法
・とくにガンなら「在宅ひとり死」が、ほぼ100パーセント可能
・病院死は、医療が貴重だった昭和の名残り
・「施設」に入れたがるのは、本人ではなく家族
・ずばり、家で死ぬために必要な費用はいくらか
・「老後の幸せ度」は「おひとりさま」が高く、「老夫婦ふたり」世帯が低い
・たとえ認知症になっても「在宅ひとり暮らし」で問題がない理由
・安楽死、尊厳死は正義か
・介護保険をどう活用すべきか
・もちろん私は「在宅ひとり死」でゆくつもり

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2021年4月3日

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