書評

『老人漂流社会』(主婦と生活社)

  • 2017/07/27
老人漂流社会 / NHKスペシャル取材班
老人漂流社会
  • 著者:NHKスペシャル取材班
  • 出版社:主婦と生活社
  • 装丁:単行本(235ページ)
  • 発売日:2013-11-22
  • ISBN:4391143712
内容紹介:
2013年1月に放送されて大反響を呼んだ NHKスペシャルの書籍化。病院や介護施設をたらい回され「死に場所」を持てない男性、自宅を失った高齢者の「終の住処」と化した三畳一間の宿泊所、自分も周りも気づかずホームレスになってしまった認知症の高齢者など、超高齢社会に住む我々が目を背けてはなら… もっと読む
2013年1月に放送されて大反響を呼んだ NHKスペシャルの書籍化。
病院や介護施設をたらい回され「死に場所」を持てない男性、自宅を失った高齢者の「終の住処」と化した三畳一間の宿泊所、自分も周りも気づかずホームレスになってしまった認知症の高齢者など、超高齢社会に住む我々が目を背けてはならない現実を徹底取材。
自分の居場所を自分で選べずに「漂流」してしまう現状に警鐘を鳴らしつつ「奇跡の共同住宅」という希望の光も示すノンフィクション。

【「はじめに」より】
この本では、番組では伝えきれなかった「自らの老後を、自らで選ぶ」ということの難しさと大切さについて、詳しく伝えようと試みている。(中略)
自らの老後と向き合うとき、どうすれば「自分らしい“終の住処”」を見つけ出せるのか、現実的な目線で老後の選択肢を提示したい、と思ったためだ。

高齢女性の4人に1人が貧困!

長寿を喜べない世の中になってきたとは感じていたけれども、ここまでひどいとは……。

『老人漂流社会』は2013年1月に放送された同名のNHKスペシャルを基にした本である。高齢になった末に行き場を失った老人たちのドキュメントだ。

“漂流”のしかたはさまざま。病院や施設をたらい回しにされる人、三畳一間の無料低額宿泊所(無低)に入る人、ホームレスになる人。“漂流”にいたる事情もさまざまだが、最大の原因は貧困である。

日本の老人はお金持ちで優雅な日々を楽しんでいる、なんて思ったら大間違い。有料老人ホームを終の住処にできるのはごく一握りの恵まれた人だけの話である。

年金があるじゃないか、と思ったら、これが頼りにならない。国民年金と厚生年金合わせて1カ月65000円というひとり暮らしの老人が登場する。家賃と公共料金を払うことすら難しい。いまの年金制度は、持ち家で家族と暮らすことを前提としているのだ。65歳以上の高齢者の貧困率が22パーセントというショッキングな数字が出てくる。高齢女性は24・8パーセント。4人に1人が貧困状態だ。

年金で足りない分を生活保護でなんとかするとしても、病気やケガでひとり暮らしが難しくなると困る。特別養護老人ホームは圧倒的に足りなくて数年待ち。サービス付き高齢者向け住宅に入れればラッキーで、簡易宿泊所(通称ドヤ)に入る人もいる。

“漂流”は備えのなかった人、家族に恵まれなかった人が陥る特殊な事態とは限らない。一戸建ての自宅に家族と住んでいた元水道工が登場する。平穏な日々が突如として崩壊する。妻に先立たれ、息子は脳梗塞で倒れる。娘も嫁ぎ先で義理の両親の介護をしつつ、自分自身ががんを患ってしまう。元水道工の老人は、もう誰にも頼れず、行くところもない。「普通に生きてきて、最後、何でこんな人生になったんだろうね……」という老人の呟きが重い。
老人漂流社会 / NHKスペシャル取材班
老人漂流社会
  • 著者:NHKスペシャル取材班
  • 出版社:主婦と生活社
  • 装丁:単行本(235ページ)
  • 発売日:2013-11-22
  • ISBN:4391143712
内容紹介:
2013年1月に放送されて大反響を呼んだ NHKスペシャルの書籍化。病院や介護施設をたらい回され「死に場所」を持てない男性、自宅を失った高齢者の「終の住処」と化した三畳一間の宿泊所、自分も周りも気づかずホームレスになってしまった認知症の高齢者など、超高齢社会に住む我々が目を背けてはなら… もっと読む
2013年1月に放送されて大反響を呼んだ NHKスペシャルの書籍化。
病院や介護施設をたらい回され「死に場所」を持てない男性、自宅を失った高齢者の「終の住処」と化した三畳一間の宿泊所、自分も周りも気づかずホームレスになってしまった認知症の高齢者など、超高齢社会に住む我々が目を背けてはならない現実を徹底取材。
自分の居場所を自分で選べずに「漂流」してしまう現状に警鐘を鳴らしつつ「奇跡の共同住宅」という希望の光も示すノンフィクション。

【「はじめに」より】
この本では、番組では伝えきれなかった「自らの老後を、自らで選ぶ」ということの難しさと大切さについて、詳しく伝えようと試みている。(中略)
自らの老後と向き合うとき、どうすれば「自分らしい“終の住処”」を見つけ出せるのか、現実的な目線で老後の選択肢を提示したい、と思ったためだ。

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

初出メディア

週刊朝日

週刊朝日 2013年12月27日

関連記事
永江 朗の書評/解説/選評
ページトップへ