書評

『プリニウス 10』(新潮社)

  • 2025/04/01
プリニウス 10 / ヤマザキマリ,とり・みき
プリニウス 10
  • 著者:ヤマザキマリ,とり・みき
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:コミック(194ページ)
  • 発売日:2020-09-09
  • ISBN-10:4107723194
  • ISBN-13:978-4107723192
内容紹介:
ギリシアの地で、いまだ自ら神となる妄想に取り憑かれる皇帝ネロのもとに、続々と反乱軍蜂起の報が届く。側近の裏切り、過去の因縁がネロを窮地に追い込む。一方、地中海沿岸から東へと向かう… もっと読む
ギリシアの地で、いまだ自ら神となる妄想に取り憑かれる皇帝ネロのもとに、続々と反乱軍蜂起の報が届く。側近の裏切り、過去の因縁がネロを窮地に追い込む。一方、地中海沿岸から東へと向かうプリニウス一行は、神話の森を抜けて、砂漠の都市・パルミュラへ。そこでは東西の多様な人々が交流し、寛容で豊かな文化をつくり上げていた。ローマに戻るも、元老院から「公共の敵」として認定されたネロは、当地を脱出――。ついに皇帝ネロ編が終幕!
貴人というより奇人でもあるプリニウス。好奇心の強さなら並ぶべき者もいないから、何事につけ自分の目で確かめないと気がすまない。万巻の書に通じていながら、危険を冒してでも現物を観察したい男だった。かくして古代の膨大な知識が『博物誌』として集大成される。

このプリニウスの生涯をたどる劇画本も節目のⅩ巻まで来た。高位の軍人だったが、ネロ帝の治世を嫌って公職を降り、気ままな旅をつづけている。属州の各地で皇帝位を狙う反乱軍がぼつぼつ決起しようとしている時世なのに、ネロ帝は「私は市民からはこんなにも愛されているはずなのに…」と妄想しているから、始末におえないのだ。

シリア砂漠の都市パルミュラを訪れたプリニウス一行は、そこで仏法僧に出会う。史実では仏教徒がエジプトのアレクサンドリアまで来たという記録すらある。首都ローマでは、追いつめられたネロ帝は自害を強いられ、遺体の目には一筋の涙が……。

表情豊かな人物画と緻密をきわめる背景画がほどよく調和していて、さすがに五カ国語に翻訳されている国際級ベストセラーの秀作巨編。
プリニウス 10 / ヤマザキマリ,とり・みき
プリニウス 10
  • 著者:ヤマザキマリ,とり・みき
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:コミック(194ページ)
  • 発売日:2020-09-09
  • ISBN-10:4107723194
  • ISBN-13:978-4107723192
内容紹介:
ギリシアの地で、いまだ自ら神となる妄想に取り憑かれる皇帝ネロのもとに、続々と反乱軍蜂起の報が届く。側近の裏切り、過去の因縁がネロを窮地に追い込む。一方、地中海沿岸から東へと向かう… もっと読む
ギリシアの地で、いまだ自ら神となる妄想に取り憑かれる皇帝ネロのもとに、続々と反乱軍蜂起の報が届く。側近の裏切り、過去の因縁がネロを窮地に追い込む。一方、地中海沿岸から東へと向かうプリニウス一行は、神話の森を抜けて、砂漠の都市・パルミュラへ。そこでは東西の多様な人々が交流し、寛容で豊かな文化をつくり上げていた。ローマに戻るも、元老院から「公共の敵」として認定されたネロは、当地を脱出――。ついに皇帝ネロ編が終幕!

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2020年10月3日

毎日新聞のニュース・情報サイト。事件や話題、経済や政治のニュース、スポーツや芸能、映画などのエンターテインメントの最新ニュースを掲載しています。

  • 週に1度お届けする書評ダイジェスト!
  • 「新しい書評のあり方」を探すALL REVIEWSのファンクラブ
関連記事
本村 凌二の書評/解説/選評
ページトップへ