書評

『パンデミックの文明論』(文藝春秋)

  • 2025/03/18
パンデミックの文明論 / ヤマザキマリ,中野 信子
パンデミックの文明論
  • 著者:ヤマザキマリ,中野 信子
  • 出版社:文藝春秋
  • 装丁:新書(212ページ)
  • 発売日:2020-08-20
  • ISBN-10:416661276X
  • ISBN-13:978-4166612765
内容紹介:
新型コロナの話で意気投合した、異色の二人が緊急対談。各国の感染症対策を見れば国民性がわかる。徹底して根絶を目指す欧米に対して、アジアはほどほどに共存しようとする。話題は古代ローマ… もっと読む
新型コロナの話で意気投合した、異色の二人が緊急対談。各国の感染症対策を見れば国民性がわかる。徹底して根絶を目指す欧米に対して、アジアはほどほどに共存しようとする。話題は古代ローマから現代まで時空を超えて、目からウロコの文明論が展開される。

目次
第1章 コロナでわかった世界各国「パンツの色」(コロナをめぐって離婚危機;洟ハンカチで感染拡大!? ほか)
第2章 パンデミックが変えた人類の歴史(ヨーロッパを変えた黒死病;スケープゴートにされたユダヤ人 ほか)
第3章 古代ローマの女性と日本の女性(原田知世vsレディー・ガガ;恐れられ、縛られていた古代ローマの女性 ほか)
第4章 「新しい日常」への高いハードル(分断・差別・姥捨山;日本の若者の「圧」 ほか)
第5章 私たちのルネッサンス計画(コロナウイルスが考えていること;空海とスティーブ・ジョブズ ほか)
旬な知性の出会いどころではない、古今東西の話題にあふれ、とにかく2時間もあれば一気に読める。

もはや飢饉も疫病も戦争も消え去りつつあると思える現代だった。突然、新型コロナ感染症が地球規模で蔓延し、そのテーマだけで人類と文明の意外な姿が浮かび上がる。欧米の一神教文化では「コロナと戦う」といきり立つが、日本の民間伝承では蘇民将来の護符を貼っておけば疫病が寄りつかないという。

「真・善・美」の価値は脳のほぼ同部位で処理されており、進化の遅い時期にできていて、あまり効率的ではないという。だから、危機に瀕した人間は、その判断よりも直感的で分かりやすいリーダーに魅かれやすいとか。およそ百年前のスペイン風邪が終息したころから、ファシズムが台頭したことを思えば、心しておくべきことだろう。

とにかく日本人の問題は「空気を読む」ことに偏りすぎており、「自粛警察」が不倫カップルも許せなくなるのは滑稽ですらある。ともあれ、イタリア人の夫がおりバイリンガルなマリさんでも、この御時世に国際結婚の難しさを痛感したとの独白には唸った。
パンデミックの文明論 / ヤマザキマリ,中野 信子
パンデミックの文明論
  • 著者:ヤマザキマリ,中野 信子
  • 出版社:文藝春秋
  • 装丁:新書(212ページ)
  • 発売日:2020-08-20
  • ISBN-10:416661276X
  • ISBN-13:978-4166612765
内容紹介:
新型コロナの話で意気投合した、異色の二人が緊急対談。各国の感染症対策を見れば国民性がわかる。徹底して根絶を目指す欧米に対して、アジアはほどほどに共存しようとする。話題は古代ローマ… もっと読む
新型コロナの話で意気投合した、異色の二人が緊急対談。各国の感染症対策を見れば国民性がわかる。徹底して根絶を目指す欧米に対して、アジアはほどほどに共存しようとする。話題は古代ローマから現代まで時空を超えて、目からウロコの文明論が展開される。

目次
第1章 コロナでわかった世界各国「パンツの色」(コロナをめぐって離婚危機;洟ハンカチで感染拡大!? ほか)
第2章 パンデミックが変えた人類の歴史(ヨーロッパを変えた黒死病;スケープゴートにされたユダヤ人 ほか)
第3章 古代ローマの女性と日本の女性(原田知世vsレディー・ガガ;恐れられ、縛られていた古代ローマの女性 ほか)
第4章 「新しい日常」への高いハードル(分断・差別・姥捨山;日本の若者の「圧」 ほか)
第5章 私たちのルネッサンス計画(コロナウイルスが考えていること;空海とスティーブ・ジョブズ ほか)

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2020年9月19日

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