書評

『日本政治 コロナ敗戦の研究』(日本経済新聞出版)

  • 2025/04/29
日本政治 コロナ敗戦の研究 / 御厨 貴
日本政治 コロナ敗戦の研究
  • 著者:御厨 貴
  • 出版社:日本経済新聞出版
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(256ページ)
  • 発売日:2021-05-26
  • ISBN-10:4532177014
  • ISBN-13:978-4532177010
内容紹介:
コロナ禍という危機に瀕し、日本の政治はなぜ呆然と立ち尽くすだけなのか、同窓の研究者と記者が忌憚なく語り尽くす。盤石と思われた安倍政権も、コロナ禍をきっかけにあっけなく終焉した。そ… もっと読む
コロナ禍という危機に瀕し、日本の政治はなぜ呆然と立ち尽くすだけなのか、同窓の研究者と記者が忌憚なく語り尽くす。
盤石と思われた安倍政権も、コロナ禍をきっかけにあっけなく終焉した。その後を担った菅政権も、後手にまわった対応が批判を浴び、大きく支持率を下げている。未曾有の危機に直面した日本政治は、何を間違えたのか。オーラルヒストリーの第一人者である研究者と、長く政治取材を手がけてきた日経記者が対談形式で語り尽くす。

過去、さまざまな危機に日本の政治はどう対応してきたのか。戦前、戦後の多くの歴史的事例も取り上げながら、幅広い視点で日本政治の来し方、行く末を考察する。

【目次】
第1章 コロナが変えた日本政治
第2章 安倍政治がもたらしたもの
第3章 菅政治とは何なのか
第4章 これからの日本政治
政治の舞台裏に通じた同窓の学者と記者の対談だから、面白くないわけがない。菅義偉首相の「行動パターンは中小企業の経営者」という指摘にゾクッとする。空理空論に付き合っても得にならないから、現場の生の情報を大事にしているらしい。無思想を恥だと思わず、目の前にある何かと取り組む現実主義が徹底しているという。だから、無派閥でいるのがいいし、それが怖くもない。

戦前戦後の政治家と比べた場合、なんと高橋是清に似ているというから驚きである。若いころは塗炭の苦しみを味わい、アメリカで奴隷まがい、ペルーの鉱山ではだまされた経験もある。日露戦争後は、日銀総裁になり、大蔵大臣として見事だった。

やがて総理大臣、政友会総裁になったが、これはまったくだめで半年で内閣総辞職。その後、大蔵大臣になり、二・二六事件で殺された。

高橋は実務の力量では卓越していても、政治はこなせず、首相には適任ではなかったという。これらの点で似ており、現在の菅首相は驚くような才能があっても、どこか総理には向いていないかもしれないのだ。

生々しい政治の現実に納得するばかり!コロナ禍の無思想の行方は気になるが。
日本政治 コロナ敗戦の研究 / 御厨 貴
日本政治 コロナ敗戦の研究
  • 著者:御厨 貴
  • 出版社:日本経済新聞出版
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(256ページ)
  • 発売日:2021-05-26
  • ISBN-10:4532177014
  • ISBN-13:978-4532177010
内容紹介:
コロナ禍という危機に瀕し、日本の政治はなぜ呆然と立ち尽くすだけなのか、同窓の研究者と記者が忌憚なく語り尽くす。盤石と思われた安倍政権も、コロナ禍をきっかけにあっけなく終焉した。そ… もっと読む
コロナ禍という危機に瀕し、日本の政治はなぜ呆然と立ち尽くすだけなのか、同窓の研究者と記者が忌憚なく語り尽くす。
盤石と思われた安倍政権も、コロナ禍をきっかけにあっけなく終焉した。その後を担った菅政権も、後手にまわった対応が批判を浴び、大きく支持率を下げている。未曾有の危機に直面した日本政治は、何を間違えたのか。オーラルヒストリーの第一人者である研究者と、長く政治取材を手がけてきた日経記者が対談形式で語り尽くす。

過去、さまざまな危機に日本の政治はどう対応してきたのか。戦前、戦後の多くの歴史的事例も取り上げながら、幅広い視点で日本政治の来し方、行く末を考察する。

【目次】
第1章 コロナが変えた日本政治
第2章 安倍政治がもたらしたもの
第3章 菅政治とは何なのか
第4章 これからの日本政治

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2021年8月14日

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