はじめに
本の中の言葉ひとつひとつが、夢であり、
未知の友であり、
世界へ繋がる扉である。
いつかの誰かの言葉だと記憶しているが、そう強く思うほどに本が好き。
本を読むことは楽しくて、読むほどに広がる世界は、果てしなく、何にだってなれるし、どこにでも行ける。泣きたいと思う時にも本を読む。
目標を決意する時にも本を読む。
思いっきり空想に浸りたい時には、大好きな作家のミステリーを読む。
幼少より同年代の子と話をすることが苦手なわたしにとって、本は何よりも親友だった。
はじめまして。
わたしの名前は、阿笠透子。
少し先の未来を観る運命専門家です。
このたび、本業以外、初のひとり出版社を立ち上げました。
出版社をはじめるのって、そんなに簡単に出来るものなの?
はい、立ち上げるのは、とても簡単。
出版業界で働いたことがなくても、内情を知っていなくても、編集経験ゼロでも、
思い立ったらはじめることが出来る。だって、資格もいらないし、法的な申請をする必要もないし、絶対に法人にする必要もない。
本をつくるのに必要なことが揃えば、本が出来ちゃう。
さて、至って簡単な本つくり、本当にそうなのでしょうか?
いいえ、つくるのは、とても大変。
さらに続けるのは、もっと大変。
だけど、その大変さが楽しくて、人生観がさらに変わっていく。
近年、出版業界が斜陽であることは知らずとも、「ひとり出版社」が増えているらしいと書店やネットで目にするようになりました。
ひとり出版社をつくるのにノウハウってあるの?
編集力がないと無理じゃない?
資金力もないと出来ないんじゃない?
ただ、本が好きで、書くことが好きなだけでも出来る?
実は、わたし、ほかの出版社から3冊出版しています。
なので、著者としては、本つくりに関わった経験がありますが、
著者として本つくりに関わることと出版する側になるのとでは天と地ほどの差があります。
いわゆる、責任ってことです。
著者は、企画に沿って原稿を書き、あとはお任せで印税をいただく。
著書が売れても売れなくても印税は、最初の発売部数に応じていただくので気楽なもの。
気楽なものですが、著書が売れないと次の出版の声はかかりませんし、本つくりのもっと深い本質を分からずにいるわけです。本を出版する側になってみると本つくりの本質ってどうだろう。どのような世界が見えるだろうか。
そこで、考えました。
これから先の人生時間で、本つくりをしてみよう。
そこから、ひとり出版社のバイブルのような本を何冊も読みました。
永江朗さんの「小さな出版社のつくり方」の「出版社をつくるのは、すごく楽しい」の言葉には、ほうほうとうなずき、「小さな出版社のつづけ方」の「この出版社は、なにがなんでもつぶさない!」の言葉には、その覚悟出来たよ、と独りごちてみました。
宮後優子さんの「ひとり出版入門 つくって 売るということ」は、とても参考になり、
本書でも本ができるまでのプロセス参照にしています。
出版業は、幸いにしてすべての工程を自分で出来なくても、いえ、むしろすべての工程を自分ひとりで出来るほうが驚愕ではありますが、編集、デザイナー、校正、印刷、販売等とアウトソーシング出来るわけです。もちろん、そのすべてにお金がかかるわけですから、自分で出来る分野が多いと本つくりにかかる経費は少なくなります。出版社を立ち上げるのは、簡単でも続けるのは、難しいというのは、本が一冊売れて、出版社に入ってくるお金は、幾らで、そこから本をつくって、売って、資金を回収できて、やっと次の本をつくることが出来るそれでようやく成り立つわけです。今は、大きなリスクも感じず、立ち上げた勢いの中で次の企画も進んでいます。
わたしは、自分の本を出版した経験から、自分の思いが活字になり、生きている証として本になったことは、楽しいばかりではなく、何か一筋、どこかの誰かにその思いが伝わることを感じていました。想いのある言葉には、力があるからです。
だから、あなたの言葉にも力があるのです。
本書は、阿笠出版第1号、気楽に立ち上げた出版社の楽しいだけではなかったひとり出版社の出来上がりまでの試行錯誤と、誰もが本を出版出来る理由を伝えるお話です。
そして、出版社をつくってみたい人には、少しのお役立ちに、
本を書いてみたいと思っている人には希望に、
心の中にやりたいことを抱えている人には、いつだって、そのはじまりは遅くはない、
エールを贈る本になることを願っています。