書評

All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)

  • 2017/08/31
All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫) / 桜坂 洋
All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)
  • 著者:桜坂 洋
  • 出版社:集英社
  • 装丁:文庫(276ページ)
  • 発売日:2004-12-18
  • ISBN:4086302195

※書店によっては、在庫の無い場合や取り扱いの無い場合があります。あらかじめご了承ください。
※詳しい購入方法は、各ネット書店のサイトにてご確認ください。

日本の「定番」が生む新鮮味

公開中の映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のエンディングでは、「HIROSHI SAKURAZAKA」の名が、トム・クルーズの前にクレジットされる。この原作は、日本の作家、桜坂洋の手による小説。コミックなど関連書籍合わせて100万部を突破した。

近未来。統合軍を形成する各国は、海の中から現れた未知の知性体“ギタイ”の大群との交戦状態に置かれている。

ギタイは、地球外の存在だが、映画でよくみるエイリアンとは違う。彼らは、ネットワークに近い存在。群れの中にはコンピューターのサーバに当たる個体がいて、大群に見える個々はその端末に過ぎない。そして、彼らは戦闘の情報を、過去(1日前)に送ることができる。つまり、人類は未来を知っている相手と戦争をしているのだ。

戦場で、この特殊なサーバ個体と遭遇した主人公は、死ぬと再び戦闘以前の場面に戻されるループ能力を手にする。これは、毎日死が襲ってくる過酷な状況を意味する。それを乗り越え、主人公は成長を果たしていく。

この辺りは、映画も小説も同じ。だが、原作に登場するドジっ子整備兵に当たるキャラはオタク科学者に、ツンデレ戦闘美少女はマッチョな女兵士に変わるなど、ハリウッド化が施される。もっといえば、舞台となる国も主人公の国籍も違うし、ストーリーもほぼ変更されている。守られているのは、小説のアイデアの根本である「ループ」状況だ。実は「ループ」は、日本のライトノベルや美少女ゲームにおいては定番。それがハリウッドの脚本に新味を生み出したという辺りがおもしろいところ。

ハリウッドは、日本の漫画やゲームに目を付けてきたが、これを機に次は小説に目を付けるはず。本当は、日本が自ら映画化できればいいんだろうけど。
All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫) / 桜坂 洋
All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)
  • 著者:桜坂 洋
  • 出版社:集英社
  • 装丁:文庫(276ページ)
  • 発売日:2004-12-18
  • ISBN:4086302195

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2014年7月6日

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