書評
『よそ見津々』(日本経済新聞出版)
些細なことに斬新な発見
小説家の柴崎友香さん、初めての本格エッセイ集。柴崎さんの小説は、どこかでエッセイと触れ合っているような気がしていたのだが、このエッセイ集を読んで、その辺りの事情がちょっとだけわかったような気がする。小説に変化する直前で止めて、エッセイにまとめている文章があって、それがとてもいい。柴崎さんは大阪でずっと暮らしてきた人だ。だから、東京で暮らし始めてから小さなことに差異を見出して、あれこれ考える。
些細(ささい)なことの中に斬新な発見は宿っている。
たとえば、パン。大阪では4枚切りや5枚切りが普通だが、東京は6枚切りがスタンダード。8枚切りまである。8枚なんてありえない、と思った柴崎さんは、大阪の友人に相談する。
そうすると、その友人は、だからテレビドラマで、パンをくわえたまま走っている人がいるのだ、と妙に納得できる意見を吐く。なるほど。厚手のパンでは口にくわえて走れないかも。
長短さまざまな文章が入っているが、どちらかというと長めの文章のほうが味わい深いような気が。ふんわりした文章はエッセイの内容にマッチしている。
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