書評
『女王様と私』(角川書店(角川グループパブリッシング))
トヨザキ的評価軸:
◎「金の斧(親を質に入れても買って読め)」
「銀の斧(図書館で借りられたら読めば―)」
「鉄の斧(ブックオフで100円で売っていても読むべからず)」
ああ、いけないいけない。脳内が絵夢たん菌に冒されてしまった。絵夢ってのはこの小説の語り手であるオタク男〈ぼく〉が連れ歩いてる〈身長30センチ、体重95グラム、素材は強化プラスチック〉の人形なんですけど、〈ぼく〉にとっては〈運命の妹〉。つまり、こいつは妹萌え系のキモオタなわけ。で、その絵夢ってのが「そういう意味ぢゃなくってえ、ここゎおにぃちゃんの頭ン中でそ」みたいな話し方をするんです。てか、この小説を読む限りでは、どうも小学生女子全般、こんな斬新な日本語を駆使してメールを打ってるみたいで……。四十四歳にはまったくついていけない、めくるめく世界が広がってる物語なんでございますの。
さて、この無職・独身・殻潰しのオタク男が絵夢を連れ、小学生女子をたんと見ることができるスポットに繰り出すわけですが、そこで遭遇したのが、〈ぼく〉をロリコンだと看破し、蹴りを入れ、「ヴァカヴォケデヴ」と罵倒する×××。そうなんです、これも『葉桜』同様叙述トリックが施されたミステリーなので、未読の方のためにはちょっとした情報も差し控えなければならないという、まったくもってレビュアー泣かせの一冊で、まだスペースが残ってるのに、わたくし一体どうしたらいいんでございましょうか。
「真藤数馬のうんざりするような現実」「真藤数馬のめくるめく妄想」「真藤数馬のまぎれもない現実」の三つのパートに分かれてはいるものの、現実篇はプロローグとエピローグ的な扱い(とはいえ、大仕掛けはここに仕込まれているのですが)になっており、読ませどころはなんといっても、〈ぼく〉が“女王様”にかしずき、こづき回され、大変な受難を味わう妄想篇にあることは間違いありません。幾つかの小さな「!」と、二つの大きな「!!」。注意深く読んでいれば「!!」の予測はある程度つくものの、妄想篇で〈ぼく〉が巻き込まれていく連続殺人事件の真相をめぐる「!」に関しては、少なくともゥチわ驚いたぉ。とゆぅわけなのでェ、おにいちゃんも絶対読むンでそ? でそ? でそ? ね☆
……しまった(自己嫌悪)。
【この書評が収録されている書籍】
◎「金の斧(親を質に入れても買って読め)」
「銀の斧(図書館で借りられたら読めば―)」
「鉄の斧(ブックオフで100円で売っていても読むべからず)」
幾つかの小さな「!」と二つの大きな「!!」。ゥチわ驚いたぉ
歌野晶午たんとゅえばぁ、語り=騙りのテクニックを駆使した叙述トリックもの『葉桜の季節に君を想うということ』(文春文庫)でェ、二〇〇四年度版「このミステリーがすごい!」(宝島社)第一位になったのですぅ。鬼面人を驚かすってゆーヵ、そーゅー小説を書かせたら上手ヵなって、ゥチわ思うぉ。なのでェ、新しく出た『女王様と私』も読ンでみたわけじゃないですヵあ。したらァ――。ああ、いけないいけない。脳内が絵夢たん菌に冒されてしまった。絵夢ってのはこの小説の語り手であるオタク男〈ぼく〉が連れ歩いてる〈身長30センチ、体重95グラム、素材は強化プラスチック〉の人形なんですけど、〈ぼく〉にとっては〈運命の妹〉。つまり、こいつは妹萌え系のキモオタなわけ。で、その絵夢ってのが「そういう意味ぢゃなくってえ、ここゎおにぃちゃんの頭ン中でそ」みたいな話し方をするんです。てか、この小説を読む限りでは、どうも小学生女子全般、こんな斬新な日本語を駆使してメールを打ってるみたいで……。四十四歳にはまったくついていけない、めくるめく世界が広がってる物語なんでございますの。
さて、この無職・独身・殻潰しのオタク男が絵夢を連れ、小学生女子をたんと見ることができるスポットに繰り出すわけですが、そこで遭遇したのが、〈ぼく〉をロリコンだと看破し、蹴りを入れ、「ヴァカヴォケデヴ」と罵倒する×××。そうなんです、これも『葉桜』同様叙述トリックが施されたミステリーなので、未読の方のためにはちょっとした情報も差し控えなければならないという、まったくもってレビュアー泣かせの一冊で、まだスペースが残ってるのに、わたくし一体どうしたらいいんでございましょうか。
「真藤数馬のうんざりするような現実」「真藤数馬のめくるめく妄想」「真藤数馬のまぎれもない現実」の三つのパートに分かれてはいるものの、現実篇はプロローグとエピローグ的な扱い(とはいえ、大仕掛けはここに仕込まれているのですが)になっており、読ませどころはなんといっても、〈ぼく〉が“女王様”にかしずき、こづき回され、大変な受難を味わう妄想篇にあることは間違いありません。幾つかの小さな「!」と、二つの大きな「!!」。注意深く読んでいれば「!!」の予測はある程度つくものの、妄想篇で〈ぼく〉が巻き込まれていく連続殺人事件の真相をめぐる「!」に関しては、少なくともゥチわ驚いたぉ。とゆぅわけなのでェ、おにいちゃんも絶対読むンでそ? でそ? でそ? ね☆
……しまった(自己嫌悪)。
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