書評

『ギリシア棺の謎』(東京創元社)

  • 2017/08/02
ギリシア棺の謎 / エラリー・クイーン
ギリシア棺の謎
  • 著者:エラリー・クイーン
  • 出版社:東京創元社
  • 装丁:文庫(538ページ)
  • 発売日:1959-09-18
  • ISBN-10:4488104088
  • ISBN-13:978-4488104085
内容紹介:
盲目のギリシャ人美術商ハルキスの葬儀が厳粛におこなわれた直後、遺言書をおさめた鋼の箱が屋敷の金庫から消えた。警察による捜索が難航する中、クイーン警視の息子エラリーが意外なありかを推理する。だが、捜査陣がそこで見つけたのは、身元不明の腐乱死体だった──〈国名シリーズ〉第四作は、若き名探偵が挑む“最初の難事件”にして、歴史に残る傑作である。
エラリー・クイーンの国名シリーズのいずれを最高作とするかはなかなか難題だが、筆者は躊躇なく本書を推す。ニューヨークのギリシア美術商の墓のなかから転がり出た二つの死体に端を発する事件の謎は複雑をきわめ、探偵エラリー(二十二、三の青二才という設定)も失敗を繰り返すので、お話は二転三転、読者はへとへとになるまで引きずり回される。論理趣味も徹底したもので、最後のドアが開いていたか閉まっていたかの推理など、執拗さを通りこして壮大な感じさえ漂う。犯人の意外性という単純な興味においても群をぬいているし、目次のアナグラムも驚異というほかはない。要するに「エラリアナ」の集大成なのだ。

【新装版】
ギリシャ棺の謎【新訳版】  / エラリー・クイーン
ギリシャ棺の謎【新訳版】
  • 著者:エラリー・クイーン
  • 翻訳:中村有希
  • 出版社:東京創元社
  • 装丁:文庫(561ページ)
  • 発売日:2014-07-30
  • ISBN-10:4488104398
  • ISBN-13:978-4488104399
内容紹介:
ギリシャ人美術商の豪邸で起きた小箱の消失に端を発する難事件は、若き日の名探偵エラリーを極限まで追いこむ強固な謎をはらんでいた。〈国名シリーズ〉最大級の傑作登場!

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【この書評が収録されている書籍】
ミステリ絶対名作201  /
ミステリ絶対名作201
  • 出版社:新書館
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(277ページ)
  • 発売日:1995-12-08
  • ISBN-10:4403250106
  • ISBN-13:978-4403250101

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ギリシア棺の謎 / エラリー・クイーン
ギリシア棺の謎
  • 著者:エラリー・クイーン
  • 出版社:東京創元社
  • 装丁:文庫(538ページ)
  • 発売日:1959-09-18
  • ISBN-10:4488104088
  • ISBN-13:978-4488104085
内容紹介:
盲目のギリシャ人美術商ハルキスの葬儀が厳粛におこなわれた直後、遺言書をおさめた鋼の箱が屋敷の金庫から消えた。警察による捜索が難航する中、クイーン警視の息子エラリーが意外なありかを推理する。だが、捜査陣がそこで見つけたのは、身元不明の腐乱死体だった──〈国名シリーズ〉第四作は、若き名探偵が挑む“最初の難事件”にして、歴史に残る傑作である。

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