書評
『ギリシア棺の謎』(東京創元社)
エラリー・クイーンの国名シリーズのいずれを最高作とするかはなかなか難題だが、筆者は躊躇なく本書を推す。ニューヨークのギリシア美術商の墓のなかから転がり出た二つの死体に端を発する事件の謎は複雑をきわめ、探偵エラリー(二十二、三の青二才という設定)も失敗を繰り返すので、お話は二転三転、読者はへとへとになるまで引きずり回される。論理趣味も徹底したもので、最後のドアが開いていたか閉まっていたかの推理など、執拗さを通りこして壮大な感じさえ漂う。犯人の意外性という単純な興味においても群をぬいているし、目次のアナグラムも驚異というほかはない。要するに「エラリアナ」の集大成なのだ。
【新装版】
【この書評が収録されている書籍】
【新装版】
【この書評が収録されている書籍】
ALL REVIEWSをフォローする






































