書評

『ジェシカが駆け抜けた七年間について』(KADOKAWA)

  • 2024/06/11
ジェシカが駆け抜けた七年間について / 歌野 晶午
ジェシカが駆け抜けた七年間について
  • 著者:歌野 晶午
  • 出版社:KADOKAWA
  • 装丁:文庫(304ページ)
  • 発売日:2008-10-25
  • ISBN-10:4043595050
  • ISBN-13:978-4043595051
内容紹介:
ミステリ界の異才が放つ、驚天動地の長編ミステリ!

カントクに選手生命を台無しにされたと、失意のうちに自殺したマラソンランナーのアユミ。同じクラブ・チームのジェシカは自分のことのように胸を痛めて泣いた。それから七年後。新たな事件が起こり……。
『葉桜の季節に君を想(おも)うということ』が昨年の各種ベストミステリーに選出された歌野晶午(しょうご)の新作。

ヒロイン・ジェシカはエチオピア出身のマラソン選手で、日本人監督・金沢勉のもとで練習に励んでいる。

ジェシカはある夜、同僚の女子選手・原田歩(あゆみ)が丑(うし)の刻参りで金沢を呪っているところを目撃するが、まもなく歩は自殺してしまう。

ところが、その後、歩はふたたび姿を現し、不可能な殺人が行われる……。

『葉桜~』は叙述トリックの一発芸。つまり『アクロイド殺し』のごとく、殺人法ではなく語りに最大の仕掛けがある。ここまでばらしてもなお、あのオチを見抜ける人はいないだろう。

『ジェシカ~』にもまったく同じことがいえる。

不可能犯罪の面白さ、女子スポーツの友情・努力・感動の物語は保証する。だが、このトリックは『葉桜』のような普遍性に欠ける。ラストは唖然(あぜん)呆然(ぼうぜん)、こんなのありかと読者は驚き、あるいは脱力するだろう。
ジェシカが駆け抜けた七年間について / 歌野 晶午
ジェシカが駆け抜けた七年間について
  • 著者:歌野 晶午
  • 出版社:KADOKAWA
  • 装丁:文庫(304ページ)
  • 発売日:2008-10-25
  • ISBN-10:4043595050
  • ISBN-13:978-4043595051
内容紹介:
ミステリ界の異才が放つ、驚天動地の長編ミステリ!

カントクに選手生命を台無しにされたと、失意のうちに自殺したマラソンランナーのアユミ。同じクラブ・チームのジェシカは自分のことのように胸を痛めて泣いた。それから七年後。新たな事件が起こり……。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2004年4月4日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

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