書評

『147ヘルツの警鐘 法医昆虫学捜査官』(講談社)

  • 2017/07/01
147ヘルツの警鐘 法医昆虫学捜査官 / 川瀬 七緒
147ヘルツの警鐘 法医昆虫学捜査官
  • 著者:川瀬 七緒
  • 出版社:講談社
  • 装丁:単行本(354ページ)
  • 発売日:2012-07-18
  • ISBN-10:4062178311
  • ISBN-13:978-4062178310
内容紹介:
炭化した焼死体の腹部から、異様な「虫の塊」が見つかった。難事件に際し警視庁は、法医昆虫学者・赤堀の起用に踏み切る。死体の周りの虫から犯行を分析するという、日本初の捜査方法とは。

ウジのコカイン、犯人への路程

昨年度、江戸川乱歩賞を受賞した、2人の女性作家のうちの1人、川瀬七緒の受賞後初の長編。

物語は、放火事件による女の焼死体の、解剖場面から始まる。およそ、女性作家らしくない、不気味な巻頭シーンだ。さらに、死体から球状のウジの塊が出てくる、という強烈な追い撃ちがあって、ますますインパクトが強まる。

事件を担当する、ベテランの警部補岩楯、若手刑事鰐川のコンビに、女性法医昆虫学者(おそらく本邦初)の赤堀涼子が、捜査に加わる。涼子は、周囲の刑事たちにうとまれながら、気後れせずに専門知識を駆使し、独自の捜査活動を展開する。採取されたウジからコカインが検出され、それがどこから由来したものか、ルーツをたどっていく過程が、読み手の興味を引っ張る。主要なキャラクターも、よく描き分けられている。

意外な犯人といった、本格ミステリー的な驚きはないものの、第1長編としては及第点をつけて、いいだろう。
147ヘルツの警鐘 法医昆虫学捜査官 / 川瀬 七緒
147ヘルツの警鐘 法医昆虫学捜査官
  • 著者:川瀬 七緒
  • 出版社:講談社
  • 装丁:単行本(354ページ)
  • 発売日:2012-07-18
  • ISBN-10:4062178311
  • ISBN-13:978-4062178310
内容紹介:
炭化した焼死体の腹部から、異様な「虫の塊」が見つかった。難事件に際し警視庁は、法医昆虫学者・赤堀の起用に踏み切る。死体の周りの虫から犯行を分析するという、日本初の捜査方法とは。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2012年9月2日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

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