書評

『いけちゃんとぼく』(角川書店(角川グループパブリッシング))

  • 2017/09/07
いけちゃんとぼく  / 西原 理恵子
いけちゃんとぼく
  • 著者:西原 理恵子
  • 出版社:角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 装丁:文庫(95ページ)
  • 発売日:2011-11-25
  • ISBN:4041000025
内容紹介:
いけちゃんはね、うれしいとふえるの。こまると小さくなるの。あったかいとよくふくらむのよ-。うれしいときもかなしいときも、いつもそばに寄り添ってつぶらな瞳で見守ってくれるふしぎな生きもの、いけちゃん。そんないけちゃんがぼくは大好きで-。少しずつ大人の階段をのぼっていく少年期のやわらかな心とみずみずしい風景。かつてこどもだった大事なあなたに贈る、西原理恵子初の叙情絵本。
しずくを逆さまにした形の、なんとも不思議な生き物“いけちゃん”に見守られ、成長していく“ぼく”。その日常が、大きなコマ割りで描かれる連作集。

著者は幅広いテイストを持つ漫画家だが、初の絵本となる本書はとりわけ叙情的。ほのぼのとした気持ちで読み進めると、最後に明かされる“いけちゃん”の正体に「!」。思わずはじめから読み返し、秘められた想(おも)いの深さに気づき、ホロリ。

絵の美しさを生かしたい、と絵本の判型で昨年8月に刊行。書店では児童書の棚に置かれたが、ネットのコミュニティーサイトでは「何回も読んだ」「近年まれにみる大ヒット」と大人たちからの声が集まっていた。

一気に部数を伸ばしたきっかけは、今年5月にテレビ番組「ザ・ベストハウス123」で、雑誌「ダ・ヴィンチ」編集長の横里隆氏が「絶対泣ける本」の第1位に挙げたこと。翌日の販売部数は前日の100倍、5月全体の売り上げは4月の40倍近くに。ネット書店「Yahoo!ブックス」でも5月の月間ランキング「『子ども』カテゴリ」の第1位を獲得。それが別の情報番組で紹介され、また部数が動いた。パブリシティ担当は「最初の放送承認依頼がきた日は、西原さんの元ご主人、鴨志田穣さんご逝去の日。最後の贈り物だったのかと感慨深い」という。

「絵の魅力はもちろん、誰もがいつか経験することが描かれており、共感と感動をよぶ」と、担当編集者の遠藤徹哉さん。パブリシティ担当も「男性読者も2割ほど。主人公の“ぼく”に自分を重ね、涙する人が多いようです」。無力でちっぽけだった“子供”を経験した大人に、訴えてくるものがある。
いけちゃんとぼく  / 西原 理恵子
いけちゃんとぼく
  • 著者:西原 理恵子
  • 出版社:角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 装丁:文庫(95ページ)
  • 発売日:2011-11-25
  • ISBN:4041000025
内容紹介:
いけちゃんはね、うれしいとふえるの。こまると小さくなるの。あったかいとよくふくらむのよ-。うれしいときもかなしいときも、いつもそばに寄り添ってつぶらな瞳で見守ってくれるふしぎな生きもの、いけちゃん。そんないけちゃんがぼくは大好きで-。少しずつ大人の階段をのぼっていく少年期のやわらかな心とみずみずしい風景。かつてこどもだった大事なあなたに贈る、西原理恵子初の叙情絵本。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2007年9月23日

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