書評
『いけちゃんとぼく』(角川書店(角川グループパブリッシング))
しずくを逆さまにした形の、なんとも不思議な生き物“いけちゃん”に見守られ、成長していく“ぼく”。その日常が、大きなコマ割りで描かれる連作集。
著者は幅広いテイストを持つ漫画家だが、初の絵本となる本書はとりわけ叙情的。ほのぼのとした気持ちで読み進めると、最後に明かされる“いけちゃん”の正体に「!」。思わずはじめから読み返し、秘められた想(おも)いの深さに気づき、ホロリ。
絵の美しさを生かしたい、と絵本の判型で昨年8月に刊行。書店では児童書の棚に置かれたが、ネットのコミュニティーサイトでは「何回も読んだ」「近年まれにみる大ヒット」と大人たちからの声が集まっていた。
一気に部数を伸ばしたきっかけは、今年5月にテレビ番組「ザ・ベストハウス123」で、雑誌「ダ・ヴィンチ」編集長の横里隆氏が「絶対泣ける本」の第1位に挙げたこと。翌日の販売部数は前日の100倍、5月全体の売り上げは4月の40倍近くに。ネット書店「Yahoo!ブックス」でも5月の月間ランキング「『子ども』カテゴリ」の第1位を獲得。それが別の情報番組で紹介され、また部数が動いた。パブリシティ担当は「最初の放送承認依頼がきた日は、西原さんの元ご主人、鴨志田穣さんご逝去の日。最後の贈り物だったのかと感慨深い」という。
「絵の魅力はもちろん、誰もがいつか経験することが描かれており、共感と感動をよぶ」と、担当編集者の遠藤徹哉さん。パブリシティ担当も「男性読者も2割ほど。主人公の“ぼく”に自分を重ね、涙する人が多いようです」。無力でちっぽけだった“子供”を経験した大人に、訴えてくるものがある。
著者は幅広いテイストを持つ漫画家だが、初の絵本となる本書はとりわけ叙情的。ほのぼのとした気持ちで読み進めると、最後に明かされる“いけちゃん”の正体に「!」。思わずはじめから読み返し、秘められた想(おも)いの深さに気づき、ホロリ。
絵の美しさを生かしたい、と絵本の判型で昨年8月に刊行。書店では児童書の棚に置かれたが、ネットのコミュニティーサイトでは「何回も読んだ」「近年まれにみる大ヒット」と大人たちからの声が集まっていた。
一気に部数を伸ばしたきっかけは、今年5月にテレビ番組「ザ・ベストハウス123」で、雑誌「ダ・ヴィンチ」編集長の横里隆氏が「絶対泣ける本」の第1位に挙げたこと。翌日の販売部数は前日の100倍、5月全体の売り上げは4月の40倍近くに。ネット書店「Yahoo!ブックス」でも5月の月間ランキング「『子ども』カテゴリ」の第1位を獲得。それが別の情報番組で紹介され、また部数が動いた。パブリシティ担当は「最初の放送承認依頼がきた日は、西原さんの元ご主人、鴨志田穣さんご逝去の日。最後の贈り物だったのかと感慨深い」という。
「絵の魅力はもちろん、誰もがいつか経験することが描かれており、共感と感動をよぶ」と、担当編集者の遠藤徹哉さん。パブリシティ担当も「男性読者も2割ほど。主人公の“ぼく”に自分を重ね、涙する人が多いようです」。無力でちっぽけだった“子供”を経験した大人に、訴えてくるものがある。
朝日新聞 2007年9月23日
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