書評
『普通をだれも教えてくれない』(潮出版社)
ここ数年来、新聞等に発表された短い批評を集めた本だが、ただの随筆集として読み過ごしてはいけない。服装、化粧、スポーツや恋愛から社会事件にいたるまで、身近な問題を取り上げながら、現在の「生」の状況を問い直そうとした思索の結晶である。
たえず不安を分泌し続ける現代。いまその不安は自己増殖し始めている。なにかと騒がしい昨今、世の中は何か得体のしれないものに怯えているようにも見える。現代人は平凡な生活を願いつつも、「個性」や「自由」にこだわり、つねに他人との違いを主張する衝動に駆られる。「普通」とは何か、そもそも普通に生きたいという考えを生み出したのは何なのか。著者は具体的な事例に即して、いつもの鋭い切り口とわかりやすい語りで、思わぬ角度から解剖のメスを入れる。
結論を押しつけるのではなく、「こうも見えるじゃない」と指摘してくれるところが面白い。揺れ動く現代社会で、日々の出来事に一喜一憂しない生き方を示唆する好著である。
【この書評が収録されている書籍】
たえず不安を分泌し続ける現代。いまその不安は自己増殖し始めている。なにかと騒がしい昨今、世の中は何か得体のしれないものに怯えているようにも見える。現代人は平凡な生活を願いつつも、「個性」や「自由」にこだわり、つねに他人との違いを主張する衝動に駆られる。「普通」とは何か、そもそも普通に生きたいという考えを生み出したのは何なのか。著者は具体的な事例に即して、いつもの鋭い切り口とわかりやすい語りで、思わぬ角度から解剖のメスを入れる。
結論を押しつけるのではなく、「こうも見えるじゃない」と指摘してくれるところが面白い。揺れ動く現代社会で、日々の出来事に一喜一憂しない生き方を示唆する好著である。
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