書評
『チャイナ・ヴィジュアル―中国エキゾティシズムの風景』(河出書房新社)
視覚的イメージから中国の歴史を読み解き、西洋との対極におくのではなく、両者のつながりを通して大陸文化を眺める。著者の一貫した学問的立場であるが、その手法は本書でも遺憾なく発揮されている。
詩文が芸術を君臨してきた中国では観念の陥穽(かんせい)がつねに待ちかまえている。だからこそ、逆に図像からのアプローチが新たな発見に導くことも少なくない。本書はそのような新しい視角の重要性を教えてくれるだけでなく、絵像の謎解きの面白さも十分堪能させてくれた。
第一部では、清代の宮廷画家であるカスティリオーネの絵画、円明園の建築と庭園、十九世紀の広東で描かれた洋画などを切り口に、失われた文化空間の再構築が試みられた。第二部は唐宋など各時代の文人画を綿密に読み解くことを通して、日常生活の細部を再現した。文字を意味の媒体という役割からしばし離し、図像として眺めて思索する第三部は、思わぬ角度から文字の持つ図像的な面白さを示してくれた。
【この書評が収録されている書籍】
 
 詩文が芸術を君臨してきた中国では観念の陥穽(かんせい)がつねに待ちかまえている。だからこそ、逆に図像からのアプローチが新たな発見に導くことも少なくない。本書はそのような新しい視角の重要性を教えてくれるだけでなく、絵像の謎解きの面白さも十分堪能させてくれた。
第一部では、清代の宮廷画家であるカスティリオーネの絵画、円明園の建築と庭園、十九世紀の広東で描かれた洋画などを切り口に、失われた文化空間の再構築が試みられた。第二部は唐宋など各時代の文人画を綿密に読み解くことを通して、日常生活の細部を再現した。文字を意味の媒体という役割からしばし離し、図像として眺めて思索する第三部は、思わぬ角度から文字の持つ図像的な面白さを示してくれた。
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