書評
『フェルメール全点踏破の旅』(集英社)
世界中にわずか三十数点しかないといわれると、ぜひ全点見てみたいと思う。それが日本でも人気の17世紀オランダの画家、ヨハネス・フェルメールの作品とくればなおさらだ。本書はニューヨーク在住のジャーナリストが、欧米各都市に点在する全作品を、約1カ月で見て回ろうとした旅の記録。06年の刊行以来、地道に売れ続けているが、現在東京都美術館で作品展が開催されていることもあり、大きく部数が動いている模様(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2008年9月)。
行程を細かく記載するのではなく、作品がその美術館に所蔵されることとなった経緯、館内の様子、鑑賞した感想が主な内容で、さらには贋作(がんさく)や盗難騒動にも触れられている。「専門書とは違い、ジャーナリストならではの率直な語り口が、読み物としても面白い。著者が撮った美術館の外観や内部の写真も掲載されていて、その絵が普段どんな場所にあるのか分かるのも、好奇心をそそります」と、担当編集者の忍穂井(おしほい)純二さん。
特筆すべきは全点がカラーで掲載されており、著者の解釈と照らし合わせて眺められること。1050円でフェルメール作品すべてが見られるとは感激。「全点掲載されていながらも持ち歩けるハンディーなもの、学生や若い女性の方にも手に取ってもらえる手頃な値段のものを目指しました」という。
読者はやはり、フェルメールファンが多い。若い読者からは「作品の背景がよく分かって面白かった」、年配の読者からは「自分も何作品か見てきたので、親近感を覚えた」といった感想が。「こんな冒険ができるなんて羨(うらや)ましい!」という声も多数寄せられており、旅心をくすぐる一冊だともいえそう。
行程を細かく記載するのではなく、作品がその美術館に所蔵されることとなった経緯、館内の様子、鑑賞した感想が主な内容で、さらには贋作(がんさく)や盗難騒動にも触れられている。「専門書とは違い、ジャーナリストならではの率直な語り口が、読み物としても面白い。著者が撮った美術館の外観や内部の写真も掲載されていて、その絵が普段どんな場所にあるのか分かるのも、好奇心をそそります」と、担当編集者の忍穂井(おしほい)純二さん。
特筆すべきは全点がカラーで掲載されており、著者の解釈と照らし合わせて眺められること。1050円でフェルメール作品すべてが見られるとは感激。「全点掲載されていながらも持ち歩けるハンディーなもの、学生や若い女性の方にも手に取ってもらえる手頃な値段のものを目指しました」という。
読者はやはり、フェルメールファンが多い。若い読者からは「作品の背景がよく分かって面白かった」、年配の読者からは「自分も何作品か見てきたので、親近感を覚えた」といった感想が。「こんな冒険ができるなんて羨(うらや)ましい!」という声も多数寄せられており、旅心をくすぐる一冊だともいえそう。
朝日新聞 2008年9月7日
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