書評

『フェルメール全点踏破の旅』(集英社)

  • 2017/11/27
フェルメール全点踏破の旅  / 朽木 ゆり子
フェルメール全点踏破の旅
  • 著者:朽木 ゆり子
  • 出版社:集英社
  • 装丁:新書(250ページ)
  • 発売日:2006-09-15
  • ISBN-10:4087203581
  • ISBN-13:978-4087203585
内容紹介:
日本でもゴッホと並ぶ人気を持つ十七世紀オランダの画家、ヨハネス・フェルメール。その作品は世界中でわずか三十数点である。その数の少なさ故に、欧米各都市の美術館に散在するフェルメール… もっと読む
日本でもゴッホと並ぶ人気を持つ十七世紀オランダの画家、ヨハネス・フェルメール。その作品は世界中でわずか三十数点である。その数の少なさ故に、欧米各都市の美術館に散在するフェルメール全作品を訪ねる至福の旅が成立する。しかもフェルメールは、年齢・性別を超えて広く受け入れられる魅力をたたえながら、一方で贋作騒動、盗難劇、ナチスの略奪の過去など、知的好奇心を強くそそる背景を持つ。『盗まれたフェルメール』の著者でニューヨーク在住のジャーナリストが、全点踏破の野望を抱いて旅に出る。
世界中にわずか三十数点しかないといわれると、ぜひ全点見てみたいと思う。それが日本でも人気の17世紀オランダの画家、ヨハネス・フェルメールの作品とくればなおさらだ。本書はニューヨーク在住のジャーナリストが、欧米各都市に点在する全作品を、約1カ月で見て回ろうとした旅の記録。06年の刊行以来、地道に売れ続けているが、現在東京都美術館で作品展が開催されていることもあり、大きく部数が動いている模様(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2008年9月)。

行程を細かく記載するのではなく、作品がその美術館に所蔵されることとなった経緯、館内の様子、鑑賞した感想が主な内容で、さらには贋作(がんさく)や盗難騒動にも触れられている。「専門書とは違い、ジャーナリストならではの率直な語り口が、読み物としても面白い。著者が撮った美術館の外観や内部の写真も掲載されていて、その絵が普段どんな場所にあるのか分かるのも、好奇心をそそります」と、担当編集者の忍穂井(おしほい)純二さん。

特筆すべきは全点がカラーで掲載されており、著者の解釈と照らし合わせて眺められること。1050円でフェルメール作品すべてが見られるとは感激。「全点掲載されていながらも持ち歩けるハンディーなもの、学生や若い女性の方にも手に取ってもらえる手頃な値段のものを目指しました」という。

読者はやはり、フェルメールファンが多い。若い読者からは「作品の背景がよく分かって面白かった」、年配の読者からは「自分も何作品か見てきたので、親近感を覚えた」といった感想が。「こんな冒険ができるなんて羨(うらや)ましい!」という声も多数寄せられており、旅心をくすぐる一冊だともいえそう。
フェルメール全点踏破の旅  / 朽木 ゆり子
フェルメール全点踏破の旅
  • 著者:朽木 ゆり子
  • 出版社:集英社
  • 装丁:新書(250ページ)
  • 発売日:2006-09-15
  • ISBN-10:4087203581
  • ISBN-13:978-4087203585
内容紹介:
日本でもゴッホと並ぶ人気を持つ十七世紀オランダの画家、ヨハネス・フェルメール。その作品は世界中でわずか三十数点である。その数の少なさ故に、欧米各都市の美術館に散在するフェルメール… もっと読む
日本でもゴッホと並ぶ人気を持つ十七世紀オランダの画家、ヨハネス・フェルメール。その作品は世界中でわずか三十数点である。その数の少なさ故に、欧米各都市の美術館に散在するフェルメール全作品を訪ねる至福の旅が成立する。しかもフェルメールは、年齢・性別を超えて広く受け入れられる魅力をたたえながら、一方で贋作騒動、盗難劇、ナチスの略奪の過去など、知的好奇心を強くそそる背景を持つ。『盗まれたフェルメール』の著者でニューヨーク在住のジャーナリストが、全点踏破の野望を抱いて旅に出る。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2008年9月7日

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