書評
『「脱パンツ」健康法―ゴム紐以前、人はもっと元気だった』(祥伝社)
体験記が楽しいパンツを脱ぐ本
ここ五、六年というもの、僕はパンツをはかずにパジャマだけで寝ている。そのパジャマもゴムをうんとゆるめてダボダボ。なぜそんなことをしているかというと、昔、不眠気味な時に”パンツのゴムのきつさが血行を悪くして不眠を引き起こす”という内容の誰かのコラムを何かで読み、その晩に実行したらすみやかに寝入り、さわやかな朝を迎えることができたからだ。私の夜を救ってくれたコラムが丸山淳士氏のものだったかは忘れたが、この本『「脱パンツ」健康法』(佐藤則幸共著・祥伝社)を読んで、僕はパンツを早く脱いでよかったと今しみじみ幸福を噛みしめている。
とにかく、「ゴム紐(ひも)以前、人はもっと元気だった」のであり、「ゴムが縮めば、寿命も縮む」のであり、「難病にも効果! もっと早くに知りたかった」本でありまして、その結果、「性器の皮膚が丈夫になり、毎日しています」ということに、北海道登別町の三十歳のK子さんはなっているのであります。
なぜ毎日するようになったK子さんが北海道の人で東京や大阪の人でないかというと、理由は明快で、この本の基となった”パソツを脱こう”運動が北海道からスタートしたからだ。丸山淳士医師が北海道放送のラジオ番組で提唱し、それを番組パーソナリティーの佐藤則幸アナウンサーがキャンペーンし、以来、北海道の心ある人でパンツをはく人はいないという。
僕は長い間、きついゴムが血行を悪くするとばかり思っていたが、この本を読むとそんな単純な話ではなくて、ゴムなど関係なく、パンツという小さなカバーがゆるやかに体にストレスを与え、新陳代謝を悪くするのが真因だという。パンツはおろかパジャマもよくなくてスッポンポンがベストだが、そうもいかない人はせめてパンツを脱ごう、というのである。
こうした健康本の真の面白さは中に掲載される体験記だが、この本の場合は方法が方法だけに実に読んで楽しい。
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