書評
『DVD付き 実はスゴイ! 大人のラジオ体操』(講談社)
バレリーナの動きもあるラジオ体操
ベストセラーのなかには、ときどき「やられた!」と叫びたくなるものがある。誰もが気がつきそうで、気がつかなかったもの。あまりにも身近すぎて、本にしようとは思わなかったもの。中村格子著『実はスゴイ! 大人のラジオ体操』もそうした1冊だ。ラジオ体操を知らない人はいないだろう。夏休みのイヤな思い出。ダサくて恥ずかしくて消し去りたい過去。宴会でやったらウケるかもしれない。そのラジオ体操が実はスゴイんです、というのが本書である。
13の動きからなるラジオ体操第1について、ひとつひとつの動きの効果や注意点を写真で説明している。たとえば2番目の動きの「腕を振って脚を曲げ伸ばす運動」は5つに分解して4ページにわたって解説。この運動にはプリエとルルベというバレエの基本動作も含まれているのだとか。なるほどこうして細かく見ていくと、ラジオ体操はよくつくられている。消費カロリーも意外と多く、速いウォーキングやハイキングと軽いジョギングの中間ぐらい。まじめにやれば汗をかく。
著者は整形外科医でスポーツドクター。たくさん載っているラジオ体操の各パーツの写真も著者自身のもの。みごとなスタイルで、体操の効果への信頼性が増す。
DVDがついていて、これがたいへん役に立つ。やっぱり動きは写真だけじゃわかりにくい。著者以外に、東京女子体育大学新体操部の学生2人(監修の秋山エリカ教授の教え子か)がよいお手本と悪いお手本を見せてくれる。おどろいたことに、世間を歩いている老若男女の多くは、この悪いお手本のような姿勢である。ラジオ体操はすぐれた運動だが、正しい姿勢でやらないと、効果半減どころかケガをすることもあるようだ。
NHKのサイトを見ると、ラジオ体操はラジオ第1と第2を合わせて1日4回も放送されている(日曜日は1回)。その気になれば、すぐにでもはじめられるのだ。
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