書評

『新東京いい店やれる店』(小学館)

  • 2017/12/12
新東京いい店やれる店 / ホイチョイ・プロダクションズ
新東京いい店やれる店
  • 著者:ホイチョイ・プロダクションズ
  • 出版社:小学館
  • 装丁:単行本(317ページ)
  • 発売日:2012-07-10
  • ISBN:4093592071
内容紹介:
『東京いい店やれる店』16年ぶりにリニューアル。女性を口説くためのバイブル復活。

旧版と比較、浮かぶ都市論

本書は1994年にベストセラーとなった“女性を口説く”という下心に即したレストラン案内の現代版。旧版と新版を並べ、経済や社会の変化がどう反映されるか読み比べてみよう。

当時はバブル崩壊後とはいえ「去年1年間でも、八景島、ザウス、レインボー・ブリッジ、ランドマーク・タワー、羽田新ターミナル、といったバブルの落とし子が続々と誕生していた」(旧版)とあるように文化としてのバブルは継続中。土地や株価は暴落しても個人消費が落ち込むのは90年代後半以降のことだ。

いまどき、気取った店に女性を連れて行くことが口説くポイントなどと考えていると“バブルオヤジ”と呼ばれるのが関の山だが、新版“やれる店”では、それは織り込み済み。「その昔、デートってやつは、男がレストランのガイド本を買って情報を収集し、その中からベストと思われる店を予約して女を連れて行ったものだった」という一行から始まる本書は、バブル風気取った店ガイドではなく、デートの作法、常識が変化した現代に即したものになっている。具体的には、高級よりも「料金が安くても、清潔で趣味のいい」という基準で店が紹介されるのである。

ウオーターフロントの高かったレストランも、デフレが続くいまどきは「価格がこなれてきた」という。さらに夜景でいうと、本書によれば200メートル超の高層ビルは23区内に21棟建っているが、そのうち11棟は21世紀以降にできている。ただし、超高層ビルの最上階のバーはおすすめされない。「どこもおのぼりさん向け」「客層の質の高さは、建物の高さに反比例」するという。

こんな具合に新旧“やれる店”から読み取ることができるのは、東京という街の18年の変化だ。実用ガイドとして読むのもいいが、むしろ都市論として読むとおもしろいかも。
新東京いい店やれる店 / ホイチョイ・プロダクションズ
新東京いい店やれる店
  • 著者:ホイチョイ・プロダクションズ
  • 出版社:小学館
  • 装丁:単行本(317ページ)
  • 発売日:2012-07-10
  • ISBN:4093592071
内容紹介:
『東京いい店やれる店』16年ぶりにリニューアル。女性を口説くためのバイブル復活。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2012年10月07日

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