退屈な読書
- 著者:高橋 源一郎
- 出版社:朝日新聞社
- 装丁:単行本(253ページ)
- 発売日:1999-03-00
- ISBN-13:978-4022573759
- 内容紹介:
- 死んでもいい、本のためなら…。すべての本好きに贈る世界でいちばん過激な読書録。
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心的外傷の研究の歴史は奇妙である。ときどき健忘症にかかって忘れられてしまう時期がある。活発に研究が行われる時期と忘却期とが交替して今日に至っているのである。十九世紀においては同じような形の研究がとりあげられては唐突に捨てられ、だいぶんたってから、再発見されるということが何度も行われている。……。
心的外傷の研究は、関心がなくなったから停滞するのではない。そうではなくて、このテーマはきわめてはげしく論争を惹き起こすので、周期的に「見るもけがらわしいもの」となってしまうわけである。心的外傷の研究は、くり返し何度も「考えることができないもの」とされ、「信用するか信用しないか」というぎりぎりのところまでいった。