前書き

『SELFISH』(祥伝社)

  • 2019/11/06
SELFISH / トマス・J・レナード,バイロン・ローソン
SELFISH
  • 著者:トマス・J・レナード,バイロン・ローソン
  • 翻訳:糟野 桃代
  • 監修:秦 卓民
  • 出版社:祥伝社
  • 装丁:単行本(531ページ)
  • 発売日:2019-11-01
  • ISBN-10:4396617097
  • ISBN-13:978-4396617097
内容紹介:
楠木建氏推薦!
自分本位――それは自己中心ではない。無理をしない。未来に期待しない。ゆとりを持つ。つまり、自分に対して自然に生きる。それがいちばん利他になる。

この本で僕の人生は、一変した。
監修者・秦卓民

世界的ロングセラーにして
自己啓発の名著、初の完全日本語訳!
今から約20年前、米国でベストセラーとなった本がある。パーソナル・コーチングの父と呼ばれたトマス・レナードが書いた『THE PORTABLE COACH』である。この本には、人生で成功するための28の戦略が書かれているが、コンサルティングやコーチングに携わる人の間では、今も語り継がれる名著である。
このたび、初めて全28のステップを網羅した日本語訳をお届けできることになった。監修者の秦卓民氏は、この本を読んで、会社の売上規模が6倍になるなど、人生が劇的に変わったという。監修者の秦氏が、この本の魅力を紹介する。

本当にやりたいことだけをやって、会社の売上規模が6倍になった理由

人は誰しも「人生を一変させるような体験」をしたことがあるのではないだろうか?
僕も四〇年間の人生の中で、それまでの生き方を一変させるような出会いをいくつか経験してきた。そのなかでも忘れられない、ある恩人と一冊の本の話をしたい。
 

土日なく働いて

現在、僕は数社の会社を経営しているが、共同代表である生嶋健太と出会ったのは、大学を卒業してすぐに入社したコンサルティング会社であった。今の時代では考えられないかもしれないが、その当時一日に一五時間近くは働いていたと思う。土日もしっかりと休みを取った記憶はない。経営コンサルティングという仕事の特性上、「若いから」という理由は一切通用しない。通常業務終了後に遅くまで経営の知識を学び、先輩からは仕事の仕方を教えてもらった。

生嶋健太とは仕事上の関わりはあったものの、二人で食事にいくこともなかったのだが、ひょんな流れで会社を共同設立した。彼とは共同代表者として一〇年間会社を経営し、仲間や、僕らを頼ってくださる顧客とエキサイティングな日々を過ごしている。人との出会いとは、わからないものだ。
生嶋と会社を設立してから三年が過ぎた頃のことだった。徐々に経営も軌道に乗り始めたけれど、僕たちは相変わらずがむしゃらに働き続けていた。そんなある日、友人から人を紹介された。その人はビジネスコーチであり、彼の顧客は誰もが知っている著名な方々ばかりで、聞けば信じられないくらいの年収を手にされている人物らしい。

会ってみて、まずその風貌に驚かされた。身長は一七五センチくらいではあるが、体重は九〇キロ近くあり、ジャケットは今にもはちきれそうだ。彼のこれまでのビジネス経験で得た自信、学生時代にアメフトで鍛えた体からも圧倒的な存在感にただならぬオーラを感じた。それに付け加え、レストランビジネスでの経験で培ったサービス精神は半端ではなく、常に周囲のことを気遣っている強くて優しい人だ。そんな彼から、「秦さん、ビジネスミーティングをしませんか?」とお誘いをいただいた。

そう、このビジネスミーティングから、僕の人生は一変したのだ。

彼の魅力に惹きつけられたビジネスミーティング

ビジネスミーティングは、彼のコンサルティングサービスを提案するための時間であったはずなのに、彼は僕にいくつもの質問をしてきた。

「一年後にどんな成果が手に入っていれば、秦さんにとって最も価値がありますか?」

「会社の強みトップ3はなんですか?」

本来、セールスとは、売り込みたいサービス内容について話すものだ。しかしミーティングの時間の九〇%は、彼から僕への質問であった。こっちがどう思っているのかなどは気にする様子もなく、淡々と自分のペースで堂々と質問をし続ける。僕が会社の強みを三つ答えた後、今度はこのように質問してきた。

「一年後の目標を手にする上で、今問題となっていること、今後障害になりそうなことはなんですか?」

僕は考えた。いつの間にか彼の質問のペースに乗せられていた。少し考えた僕は、意気揚々とこう答えた。

・会社の営業チームのセールス力が弱いこと

・新しいサービスが中々つくれないこと

すると彼は、表情一つ変えずに、彼のペースで堂々とまた質問をしてきた。

「今おっしゃった問題を、『どのようにすれば〜か』という疑問文で表現するとどうなりますか?」

この質問で僕の発想は一変した。問題を「どのようにすれば〜?」という文書に変換するだけで、ビジョンが見え始め、何か解決できる気がしてきた。僕は答えた。

・どのようにすれば、営業の成約率が七〇%になるだろうか?

・どのようにすれば、新しいサービスが生まれ、一年間で既存サービスの売上を超えることができるだろうか?

同じ問題でも、「言葉」が違うだけで、こんなにも捉え方が変わることを知った。彼から何かを教えてもらったわけではなく、質問をされてそれに答えただけで。すると彼は続けて、「これらの問題を一緒に解決しませんか? というのが僕の提案です。どうやってやるかというと……」

僕はその問題が解決したくてたまらなかったし、魅力的な彼と一緒にいると、何かそれが手に入りそうな気がして、当時の僕らの会社の月商ほどするフィーの彼のコンサルティングサービスを会社に導入することを決めた。そして六カ月後に月商は三・六倍になった。

なぜ休みなく働いても成果が出せなかったのか

初めて会ってから一カ月が経ったころだろうか。彼から一冊の本を紹介された。元祖ビジネスコーチと呼ばれているトマス・レナードという人が約二〇年前に書いた『THE PORTABLE COACH』という書籍であった。それは真っ赤な表紙で大きく、分厚い古い書籍であった。

もともと本を読むことは大好きであり、かつ恩人からの推薦ともあって、僕は『THE PORTABLE COACH』に目を通した。少し読み始めて、驚いた。そこには人生で成功するための二八の戦略が書かれていたのだが、その一つ一つがまるで彼を説明しているかのような内容だったからだ。

これは後から聞いた話ではあるが、当時は彼── 雨宮幸弘さんの会社と僕の会社の生産性は、同じコンサルティング業界にいながらも四倍もの差があったのだ。僕たちは前職の経験から「生産性を上げるためにはできる限りたくさんの時間を働く」という前提があったので、土曜日も集まり、新規事業がどうやったら成功するか?の会議を行なっていたりした。しかし雨宮さんに話を聞くと一カ月の半分も仕事をしていないという。そのほうが一つ一つの仕事に集中でき、結果的に顧客に大きなインパクトを与えることが可能になる。毎年同じお客様がお仕事を発注してくださるので、セールス活動も年に数回しかしないというのだ。それでいて、年に何度か海外に行き、体を休め、インプットを増やし、家族を大切にしている。

なぜ彼が、世の中の誰もが知っている経営者たちにビジネスインパクトを出し、それでいて周囲から愛されている存在なのかを、僕はこの本を通して言語ベースで理解することができた。

僕の人生を一変させた“不思議な本”との出会い

今回皆様がお手にとって下さった本書『SELFISH』は、この『THE RTABLE COACH』を英語から日本語に訳したものである。これまでにもこの『THE PORTABLE COACH』に関しては、何冊か和訳は出ているのだが、二八個のステップとその内容を完全に訳し切ったものはいまだに存在しなかった。本書は、初めての完全版邦訳となる。

僕はこの『THE PORTABLE COACH』を読んでから以下の成果を手にした。

・本当にやりたいことだけをやりながら、会社の売上規模が六年間で六倍になった

・自分が会社に行かなくても(週に五時間程度)成長し続ける会社になった

・目の前にいる人たちみんなが素敵に見えるようになった

・ずっと前からお会いしたいと思っている人たちと自然と会えるようになった

・ストレスがなくなった

『THE  PORTABLE COACH』は、不思議な書籍で、第1章は、「信じられないくらいセルフィッシュになれ!」である。僕はこの言葉が大好きで、今回の書籍では思い切ってこの章のセルフィッシュからタイトルを切り出し、『SELFISH』とした。「SELFISH」という言葉は日本人が聞くと少しネガティブなイメージで捉えてしまうこともあるかもしれないが、この言葉の本質をしっかりアプローチしていくと、信じられないくらい豊かな気持ちでいられる。そのため今回は各章に英語表記も残しておいた。原文にも触れていただいたほうが読者の人生の助けになると考えたからだ。日本語と英語の双方を読むと、違った角度からこのコンセプトに触れることが可能になる。また、時間のある方はぜひ『THE PORTABLE COACH』の原書も併読することをお勧めしたい(原著はベストセラーであるとともにロングセラーであり、現在は『THE 28 LAWS OF ATTRACTION』と改題され刊行され続けている)。

原著の刊行は一九九八年であるため、少し記述が古く感じる箇所もあるが、大部分は現代でも十分に通用し、むしろ三〇余年経った現代でもハッとさせられる箇所が多い。これもベストセラーのなせるわざだろう。

楠木建氏も絶賛。「セルフィッシュ」とは、真の意味での「自分本位」

楠木建氏も、本書を読んでコメントを寄せてくださった。

「自分本位—―それは自己中心ではない。無理をしない。未来に期待しない。ゆとりを持つ。つまり、自分に対して自然に生きる。それがいちばん利他になる」

キーワードは、「セルフィッシュ」だ。

繰り返すが、この言葉の本質を理解してもらえれば、驚くほど豊かな気持ちになれる。驚くほど、ゆとりが生まれる。このことを僕は断言する。

あなたの中の「セルフィッシュ」をこの本で探してください。そしてあなたがもっと「セルフィッシュ」であるためのヒントも、この本で探してください。

本書が、一人でも多くの人の「人生を一変させるきっかけ」になれば幸いです。

[書き手]秦卓民
1979年生まれ。2009年、総合コンサルティング会社、㈱ENERGIZEを共同設立。スポーツ選手、企業経営者などを中心にビジネスのパフォーマンスが上がるエグゼクティブコーチングを行なっている。顧客にリンクアンドモチベーション、Plan・Do・See、サッカー日本代表選手など多数。本書(原著)を読んで人生が一変。この本の本当の魅力を日本にも伝えたいと、本書『SELFISH(セルフィッシュ)』の完全邦訳版を提案した。
SELFISH / トマス・J・レナード,バイロン・ローソン
SELFISH
  • 著者:トマス・J・レナード,バイロン・ローソン
  • 翻訳:糟野 桃代
  • 監修:秦 卓民
  • 出版社:祥伝社
  • 装丁:単行本(531ページ)
  • 発売日:2019-11-01
  • ISBN-10:4396617097
  • ISBN-13:978-4396617097
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自分本位――それは自己中心ではない。無理をしない。未来に期待しない。ゆとりを持つ。つまり、自分に対して自然に生きる。それがいちばん利他になる。

この本で僕の人生は、一変した。
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