書評

『クロノス・ジョウンターの伝説』(徳間書店)

  • 2017/07/06
クロノス・ジョウンターの伝説  / 梶尾 真治
クロノス・ジョウンターの伝説
  • 著者:梶尾 真治
  • 出版社:徳間書店
  • 装丁:文庫(653ページ)
  • 発売日:2015-02-06
  • ISBN:4198939373
内容紹介:
開発途中のタイムマシン「クロノス・ジョウンター」。過去へ跳びたい様々な思いを抱える人々は、危険を承知で乗り込んだ。
時間SFにはロマンスがよく似合う。だからこそ、前に紹介した「たんぽぽ娘」や「愛の手紙」のような小説がたくさん書かれているわけですが、日本にも、時間SFロマンスの名手がいる。その名は梶尾真治。デビュー作「美亜へ贈る真珠」からして、違う時間を生きる恋人同士を描く切ないラブストーリーだったし、そのものずばり、『タイムトラベル・ロマンス』という題の名作SF案内まで出している。その梶尾真治が正面から時間旅行にチャレンジした連作が『クロノス・ジョウンターの伝説』。少しずつ内容(収録作)の違う同じ題の本が何種類も出てますが、今年2月に発売された徳間文庫版が、加筆修正のうえシリーズ全7話を収録する決定版(巻末には年表と辻村深月の解説つき)。

タイムトラベル・ロマンス-時空をかける恋 物語への招待  / 梶尾 真治
タイムトラベル・ロマンス-時空をかける恋 物語への招待
  • 著者:梶尾 真治
  • 出版社:平凡社
  • 装丁:単行本(157ページ)
  • 発売日:2003-07-08
  • ISBN:4582831699
内容紹介:
究極のラブ・ストーリーを探してみませんか。『ある日どこかで』『ジェニーの肖像』『アルジャーノンに花束を』…いま話題の『黄泉がえり』の作者が贈る超選りすぐりのファンタジー・SF名作案内。

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。


題名のクロノス・ジョウンターとは、カジシン流のユニークなタイムマシン。クロノスは時間を意味し、ジョウンターは、ベスター『虎よ、虎よ!』に出てくるジョウント効果(瞬間移動能力)に由来する。要は、時の流れを超えて物質を過去に飛ばす機械ですね。ただし、この時間移動には反動がある。過去に飛ばされたものは、その時点に長くとどまることができず、振子のように戻ってくると、現在を飛び越してさらに未来へと飛んでしまう。遡(さかのぼ)る時間が長ければ長いほど反動も大きくなり、自分が生きている時代には帰ってこられない。その制約にもかかわらず、なんとかこの機械を使って過去を改変し、愛する相手を救おうとする人々のドラマが、連作を貫く軸になる。

たとえば、第3話「鈴谷樹里の軌跡」は、小学生の時に出会った難病の青年ヒー兄ちゃんのことが忘れられず、過去に赴いて彼の命を救おうとする女性の物語。ヒー兄ちゃんが樹里に語り聞かせてくれるお話として「たんぽぽ娘」が紹介される。こんなふうに、実在のSF作品がいくつも出てくるのも本書の魅力。この「鈴谷樹里の軌跡」は、「この胸いっぱいの愛を」の題名で映画化(話はぜんぜん違います)。また、全7話のうち4話は演劇集団キャラメルボックスが舞台化している。
クロノス・ジョウンターの伝説  / 梶尾 真治
クロノス・ジョウンターの伝説
  • 著者:梶尾 真治
  • 出版社:徳間書店
  • 装丁:文庫(653ページ)
  • 発売日:2015-02-06
  • ISBN:4198939373
内容紹介:
開発途中のタイムマシン「クロノス・ジョウンター」。過去へ跳びたい様々な思いを抱える人々は、危険を承知で乗り込んだ。

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

初出メディア

西日本新聞

西日本新聞 2015年6月22日

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