書評

『お岩と伊右衛門―「四谷怪談」の深層』(洋泉社)

  • 2020/08/07
お岩と伊右衛門―「四谷怪談」の深層 / 高田 衛
お岩と伊右衛門―「四谷怪談」の深層
  • 著者:高田 衛
  • 出版社:洋泉社
  • 装丁:単行本(270ページ)
  • 発売日:2002-08-01
  • ISBN-10:4896916557
  • ISBN-13:978-4896916553
内容紹介:
近世小説研究の泰斗が、刃傷事件や巷説から生まれた実録小説、そして『四谷怪談』に先行する歌舞伎作品などの緻密な検証を通して、江戸の武士社会の退廃が生み落とした傑作のモデルを捜し求める力作評論。
大南北の『東海道四谷怪談』にはいろいろモデル説がある。著者はそのうち「近世実録全書」版『四谷雑談(よつやぞうだん)』を手がかりに四谷怪談の系譜を博捜(はくそう)する。南北の前作からのモティーフなどもたぐられるが、おもしろいことに『四谷怪談』の再々の上演につれて、舞台の虚構だった伊右衛門や彼を取り巻く人物が江戸の現実の市井(しせい)によみがえってくる。つまり『四谷怪談』は一回かぎりの出来事でなく、共時的な深層構造を抱えているのだ。

だから初演時の文政年間にも、幕末にも、くり返し伊右衛門的、お岩的人間が現実に出現し、応じて舞台の名優たちも憑かれたように時代の深層を演じた。それなら今も現代版『四谷怪談』が見られそうなもの。とりあえず京極夏彦の小説『嗤う伊右衛門』が話題になっているが、かんじんの演劇・映画の新作はどうなったのか。こわーい『四谷怪談』がみたーい。興行の夕イミングを研究者が先取りしてしまったようだ。
お岩と伊右衛門―「四谷怪談」の深層 / 高田 衛
お岩と伊右衛門―「四谷怪談」の深層
  • 著者:高田 衛
  • 出版社:洋泉社
  • 装丁:単行本(270ページ)
  • 発売日:2002-08-01
  • ISBN-10:4896916557
  • ISBN-13:978-4896916553
内容紹介:
近世小説研究の泰斗が、刃傷事件や巷説から生まれた実録小説、そして『四谷怪談』に先行する歌舞伎作品などの緻密な検証を通して、江戸の武士社会の退廃が生み落とした傑作のモデルを捜し求める力作評論。

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朝日新聞 2002年11月03日

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