呪法と変容―試論集
- 著者:鷲巣 繁男
- 出版社:竹内書店
- 装丁:-(266ページ)
- 発売日:1972-11-26
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しかし、サンボリズムは〈ことば〉に対して、より深いペシミスムによって支えられている。〈ことば〉の論理的な概念的なものへの不信は、ことばとその関係が作り出す、ほのめかし、ことばの力以上のもの、つまり非存在を思わせるものの存在感を与えるという逆説的な志向の上に成立している。ことばへの不信というものを逆手にとって、見えない、聞えない、感じないものを、見せ、聞かせ感じさせようという秘儀的な悲願がそこにはある。
ウイットというのも、それはそうした時のコトバと存在のズレであって、パロディというのも〈意味〉というものの固定化の揺り動かしにあるのである。我々はパロディを単に文字の類似に於て考えるべきではなく、文字以前のコトバ――音がいくつかの文字に分から存在するという両義乃至多義に放射する〈可笑しさ〉(中略)を考えるべきで、それが時に主留レアリスムの姿に似るのであろう。(「永久運動」)