書評

『統計学が最強の学問である』(ダイヤモンド社)

  • 2017/07/14
統計学が最強の学問である / 西内 啓
統計学が最強の学問である
  • 著者:西内 啓
  • 出版社:ダイヤモンド社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(320ページ)
  • 発売日:2013-01-24
  • ISBN-10:4478022216
  • ISBN-13:978-4478022214
内容紹介:
あえて断言しよう。あらゆる学問のなかで統計学が最強の学問であると。どんな権威やロジックも吹き飛ばして正解を導き出す統計学の影響は、現代社会で強まる一方である。「ビッグデータ」など… もっと読む
あえて断言しよう。あらゆる学問のなかで統計学が最強の学問であると。どんな権威やロジックも吹き飛ばして正解を導き出す統計学の影響は、現代社会で強まる一方である。「ビッグデータ」などの言葉が流行ることもそうした状況の現れだが、はたしてどれだけの人が、その本当の魅力とパワフルさを知っているだろうか。本書では、最新の事例と研究結果をもとに、今までにない切り口から統計学の世界を案内する。

重要なのはデータを見るセンス

何がいいのか正しいのか、迷うことの多い今日このごろ、「である」と断言してくれる人に出会うとほっとする。だからぼくは西内啓『統計学が最強の学問である』を手に取った。表紙には「データ社会を生きぬくための武器と教養」との手書き文字がある。あまり上手くない脱力系。「最強」「学問」の力強さとのアンバランスがいい。タイトルとデザインの勝利だ。

内容はよくできた統計学の入門書である。この本を読んだからといって、すぐデータ分析できるわけではないから、入門書というより入門の入門。統計学的な考え方を教えてくれる。

そういえば、ビッグデータの時代なのだと誰かがいっていた。コンピュータとインターネットによって、大量のデータを集め、分析することが可能になった。ぼくらは検索したりメールしたりして、せっせとデータを提供している。プロバイダや通信会社に料金を払ったうえデータ提供までしているのだから、盗人に追い銭という気もしないではないが。

しかし、いくら大量のデータがあっても、その分析のしかた、読みかた、つかいかたがわからなければ何の意味もない。逆に、適切な扱い方さえわかっていれば、データの量は少しでもいい。全員に聞かなくても、適切にサンプリングした人々だけに聞けば、全体のことはだいたいわかる。重要なのはデータを見るセンスだ。

よくアドバイザーやらコンサルタントやらが、アンケート調査のデータをもとに「ですから御社では~」などとプレゼンする。もっともらしいスライドを見せて。でも、それが本当に意味のあるものかどうか、本書をよく読んで判断したほうがいいだろう。世の中には、下らない出費の正当化のために行われる下らないアンケートが多すぎる。

統計学が最強かどうかは知らないけれど、統計学を知らずして天下国家を語るなかれ、という気分にはなるね。
統計学が最強の学問である / 西内 啓
統計学が最強の学問である
  • 著者:西内 啓
  • 出版社:ダイヤモンド社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(320ページ)
  • 発売日:2013-01-24
  • ISBN-10:4478022216
  • ISBN-13:978-4478022214
内容紹介:
あえて断言しよう。あらゆる学問のなかで統計学が最強の学問であると。どんな権威やロジックも吹き飛ばして正解を導き出す統計学の影響は、現代社会で強まる一方である。「ビッグデータ」など… もっと読む
あえて断言しよう。あらゆる学問のなかで統計学が最強の学問であると。どんな権威やロジックも吹き飛ばして正解を導き出す統計学の影響は、現代社会で強まる一方である。「ビッグデータ」などの言葉が流行ることもそうした状況の現れだが、はたしてどれだけの人が、その本当の魅力とパワフルさを知っているだろうか。本書では、最新の事例と研究結果をもとに、今までにない切り口から統計学の世界を案内する。

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初出メディア

週刊朝日

週刊朝日 2013年3月1日

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