書評

『解きたくなる数学』(岩波書店)

  • 2024/10/18
解きたくなる数学 / 佐藤 雅彦
解きたくなる数学
  • 著者:佐藤 雅彦
  • 出版社:岩波書店
  • 装丁:単行本(134ページ)
  • 発売日:2021-09-29
  • ISBN-10:4000063391
  • ISBN-13:978-4000063395
内容紹介:
数学の本なのに、出てくるのはおいしそうなケーキやチーズやチョコレートの写真。でも、それらを使って身につくのは、論理の組み立て+抽象化+新しい考え方の枠組み+思考のジャンプ。さあ、… もっと読む
数学の本なのに、出てくるのはおいしそうなケーキやチーズやチョコレートの写真。でも、それらを使って身につくのは、論理の組み立て+抽象化+新しい考え方の枠組み+思考のジャンプ。さあ、佐藤雅彦研究室の選り抜きの23問!解きたくなる数学がここにあります。論理的思考を身につけたい社会人、大学生、高校生、中学生のみなさんへ。

目次
第1章 驚くなかれこことここは同じ大きさ―同じ面積
第2章 変わらないものに注目すると「ある真実」が見えてくる―不変量の問題
第3章 鳩の数が巣の数より多いと何が起こるか―鳩の巣原理
第4章 世の中を敢えて偶数と奇数のふたつに分けてみる―偶奇性の問題
第5章 ある地点からある地点に行くなら直線で行くのが一番近い―三角不等式
第6章 複数の条件が答えを決定づける―条件の重ね合わせ
第7章 比較しにくいものを比較するには―比較の問題
第8章 論理的ドミノ倒し―数学的帰納法
第9章 解く喜びここにあり―修了問題
おまけ最終章 この本はこの問題から始まった―はじまりの問題
1月17日の朝刊を開いて愕然。大学共通テストの数学がまったく分からない。設問の文章に出てくる太郎と花子の会話も、なにを言ってるんだかチンプンカンプン。この記号、どういう意味だったっけ? いま入試を受けたら、とうてい合格できませんね。

しょぼくれて書店を覗いたら、目にとまったのが『解きたくなる数学』(佐藤雅彦、大島遼、廣瀬隼也著・岩波書店・1980円)だった。はかりの上に大量のナットが載っている写真が表紙。まるで数学の本らしくない。手に持った感触は最高で、パラパラッとめくると、カラーのきれいな写真がたくさん出てくる。文字は少なめ。驚くことに、数式がほとんど出てこない。

本編の前に問題が三つ。第2問は、厚さがおなじ大中小、三つの正方形のチョコレートについて。大1個もらうのと、中と小をもらうのでは、どっちが得か? 「はかりやものさしを使わなくてもチョコレートをうまく配置するだけで答えが分かります」とのこと。

チョコレートの写真をにらみながら、うーん、どっかで見たような気がする……と考えるけど分からない。ページをめくると「ピタゴラスの定理を使います」とある。

分かった! チョコレートの辺で直角三角形を作るように配置すると、はかりやものさしなしで解けるのだ。

この本の特徴は、「ひと目で問題の意味が分かる」、そして「ひと目で問題を解きたくなる」こと。日常のどこにでもありそうな光景から問題を作っている。そして、その問題を解くには数学的な考え方をすればいい、ということが分かる。あらゆるところに数学が隠れている。

いわば数学入門の入門。考え方の入門みたいな本で、これを読めば大学共通テストがすぐ解けるようになるわけじゃない。でも、論理的に考えたり抽象的に考えたりするトレーニングになりそう。考えることは楽しいし、解けた瞬間は気持ちいい。

素人考えですが、数学の問題を作ったり解いたりすることは、俳句や短歌を詠むのと似てますね。
解きたくなる数学 / 佐藤 雅彦
解きたくなる数学
  • 著者:佐藤 雅彦
  • 出版社:岩波書店
  • 装丁:単行本(134ページ)
  • 発売日:2021-09-29
  • ISBN-10:4000063391
  • ISBN-13:978-4000063395
内容紹介:
数学の本なのに、出てくるのはおいしそうなケーキやチーズやチョコレートの写真。でも、それらを使って身につくのは、論理の組み立て+抽象化+新しい考え方の枠組み+思考のジャンプ。さあ、… もっと読む
数学の本なのに、出てくるのはおいしそうなケーキやチーズやチョコレートの写真。でも、それらを使って身につくのは、論理の組み立て+抽象化+新しい考え方の枠組み+思考のジャンプ。さあ、佐藤雅彦研究室の選り抜きの23問!解きたくなる数学がここにあります。論理的思考を身につけたい社会人、大学生、高校生、中学生のみなさんへ。

目次
第1章 驚くなかれこことここは同じ大きさ―同じ面積
第2章 変わらないものに注目すると「ある真実」が見えてくる―不変量の問題
第3章 鳩の数が巣の数より多いと何が起こるか―鳩の巣原理
第4章 世の中を敢えて偶数と奇数のふたつに分けてみる―偶奇性の問題
第5章 ある地点からある地点に行くなら直線で行くのが一番近い―三角不等式
第6章 複数の条件が答えを決定づける―条件の重ね合わせ
第7章 比較しにくいものを比較するには―比較の問題
第8章 論理的ドミノ倒し―数学的帰納法
第9章 解く喜びここにあり―修了問題
おまけ最終章 この本はこの問題から始まった―はじまりの問題

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2022年1月29日

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