男性優位社会の中でパイを取り戻すために
「何よりフェミニズムは平和主義でもなければ、モラルのための闘争でもない。男たちに奪われてきた女の分のパイを取り戻すための闘争なのだ」とある。とにかく具体的。こういう考えもあるので聞いてください、ではない。パイ(取り分)を取り戻すための言葉だ。広告業界で、男性優位社会に翻弄されていた著者は、フェミニズムと広告を掛け合わせた「フェムバタイジング」を提唱し始める。
「キャリア断絶への脅威は、獲物を狙うハイエナのごとくいつも女性の周りにある」。
男性には自動的に用意される階段なのに、女性がその前に立つためにはいくつもの条件と努力が要求される。その後で一度でもつまずけば、やはり男性とは対等には扱えない、と烙印を押される。烙印を押すのは、あらかじめ階段が用意されていた人たちだ。
この4月、「女性の党」の党首としてソウル市長選に立候補し、4位に入った著者。
「『牽制を受けない権力は腐敗する』という言葉は、男性たちの連帯に対してもあてはまる」と言う。そう、男性は牽制を受けずにこの社会で生きてこられた。男性向けに設計された社会では、成功しようが失敗しようが、救ってくれる場所や仕組みがある。
この日本社会でも、家父長制の権化のような権力者によって諸問題が潰されている。
パイの占有を崩したい。