書評

『ビッグヒストリー われわれはどこから来て、どこへ行くのか――宇宙開闢から138億年の「人間」史』(明石書店)

  • 2017/07/31
ビッグヒストリー われわれはどこから来て、どこへ行くのか――宇宙開闢から138億年の「人間」史 / デヴィッド・クリスチャン,シンシア・ストークス・ブラウン,クレイグ・ベンジャミン
ビッグヒストリー われわれはどこから来て、どこへ行くのか――宇宙開闢から138億年の「人間」史
  • 著者:デヴィッド・クリスチャン,シンシア・ストークス・ブラウン,クレイグ・ベンジャミン
  • 翻訳:石井 克弥,竹田 純子,中川 泉
  • 監修:長沼 毅
  • 出版社:明石書店
  • 装丁:大型本(424ページ)
  • 発売日:2016-11-13
  • ISBN-10:4750344214
  • ISBN-13:978-4750344218
内容紹介:
最新の科学の成果に基づいて138億年前のビッグバンから未来にわたる長大な時間の中に「人間」の歴史を位置づけ、それを複雑性が増大する「8つのスレッショルド(大跳躍)」という視点を軸に読み解いていく。宇宙論、生物学、化学などの自然科学と歴史学、地理学、社会学などの人文社会学が融合した「新しい学問」、ビッグヒストリーのオリジナルテキスト。

楽観論と悲観論

最近、スケールの大きな歴史本が注目されている。歴史を人類の歴史として、あるいは地球の歴史としてとらえる本だ。なかでも『ビッグヒストリー』のスケールはとびきり大きい。なにしろ宇宙が誕生してから現代、そして未来までを描くのだから。大判で400ページ超、カラー印刷。文字どおり「大きな歴史」の本だ。3人の執筆者はオーストラリアやアメリカの大学で教える歴史学者。

宇宙が誕生してから現在までの138億年の間に、八つの大きな転換点があった、と本書はいう。「スレッショルド(大跳躍)」と呼ぶこの転換点で、世界の(あるいは宇宙の)複雑さが一気に増し、違うレベルへと進む。

八つのスレッショルドのうち三つは地球誕生以前のもの。第4スレッショルドで太陽系と地球が誕生し、第5で生命が、第6でようやく人類が誕生する。天文学や物理学、化学、生物学、人類学、(一般的な意味での)歴史学、経済学などさまざまな分野の知見が横断的に語られる。

気になるのは「未来のヒストリー」と題された最終章だ。これからの100年間に何が起きるか。人口の増加と化石燃料供給の限界、気候の不安定化など、悪い話はたくさんある。一方、人類は創意工夫に富んだ生物種だから問題を解決できるだろう、という楽観的予測も可能だという。ここ数年の世界を見渡すと、悲観論を採りたくなる。

いずれにせよ、いつか宇宙は終わりをむかえるし、地球もなくなるということだけはたしかだ。それに比べれば、いま地球上でおこなわれている争いごとなんて大したことはない……と思いたい。
ビッグヒストリー われわれはどこから来て、どこへ行くのか――宇宙開闢から138億年の「人間」史 / デヴィッド・クリスチャン,シンシア・ストークス・ブラウン,クレイグ・ベンジャミン
ビッグヒストリー われわれはどこから来て、どこへ行くのか――宇宙開闢から138億年の「人間」史
  • 著者:デヴィッド・クリスチャン,シンシア・ストークス・ブラウン,クレイグ・ベンジャミン
  • 翻訳:石井 克弥,竹田 純子,中川 泉
  • 監修:長沼 毅
  • 出版社:明石書店
  • 装丁:大型本(424ページ)
  • 発売日:2016-11-13
  • ISBN-10:4750344214
  • ISBN-13:978-4750344218
内容紹介:
最新の科学の成果に基づいて138億年前のビッグバンから未来にわたる長大な時間の中に「人間」の歴史を位置づけ、それを複雑性が増大する「8つのスレッショルド(大跳躍)」という視点を軸に読み解いていく。宇宙論、生物学、化学などの自然科学と歴史学、地理学、社会学などの人文社会学が融合した「新しい学問」、ビッグヒストリーのオリジナルテキスト。

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初出メディア

週刊朝日

週刊朝日 2017年01月17日

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