書評

『明治大正見聞史』(中央公論新社)

  • 2023/10/28
明治大正見聞史 / 生方 敏郎
明治大正見聞史
  • 著者:生方 敏郎
  • 出版社:中央公論新社
  • 装丁:文庫(368ページ)
  • 発売日:2005-08-26
  • ISBN-10:4122045738
  • ISBN-13:978-4122045736
内容紹介:
ビスケットやエプロンも知らない田舎から上京。書生生活を送りながら、明治の新東京の風物と社会に目をみはる。新聞記者となってからは乃木大将の殉死の取材などで活躍。やがて出会う大正の大震災の混乱と騒動の中で見たものは……。明治大正の世相風俗を深く見透した記者魂の面目躍如の名著。

正史にはない市井の見聞記

東京朝日新聞の雑報記者として口語体で記事を書いたのをはじめ、「早稲田文学」記者として健筆をふるい、小説から風俗戯評までの幅ひろい分野で、諷刺的な作品を精力的に発表した生方敏郎の業績は、戦時中に軍国主義に抵抗し、個人雑誌「古人今人」を発行しつづけたことなどとあわせて、まだまだ掘りおこされる必要がある。

「明治大正見聞史」は大正十五年に春秋社から刊行された回想記で、市井の風俗や小事件などをとおして、時代の動きを痛烈に諷したものであり、とくに「乃木大将の忠魂」では乃木神話のベールをはぎとり、「大震災後記」では流言の裏にひそむ力の存在を暗示し、貴重な記録にまとまっている。

二十世紀を前にして人々がどのように反応したかを知るためには、「明治時代の学生生活」を読めばよいし、大震災当日の巷の状況を知りたければ「関東大震災」を見ることだ。ともかく正史にはない興味ぶかい市井の見聞記である。
明治大正見聞史 / 生方 敏郎
明治大正見聞史
  • 著者:生方 敏郎
  • 出版社:中央公論新社
  • 装丁:文庫(368ページ)
  • 発売日:2005-08-26
  • ISBN-10:4122045738
  • ISBN-13:978-4122045736
内容紹介:
ビスケットやエプロンも知らない田舎から上京。書生生活を送りながら、明治の新東京の風物と社会に目をみはる。新聞記者となってからは乃木大将の殉死の取材などで活躍。やがて出会う大正の大震災の混乱と騒動の中で見たものは……。明治大正の世相風俗を深く見透した記者魂の面目躍如の名著。

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初出メディア

週刊朝日

週刊朝日 1978年12月8日

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