書評

『老前整理 捨てれば心も暮らしも軽くなる』(徳間書店)

  • 2017/08/25
老前整理 捨てれば心も暮らしも軽くなる / 坂岡 洋子
老前整理 捨てれば心も暮らしも軽くなる
  • 著者:坂岡 洋子
  • 出版社:徳間書店
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(199ページ)
  • 発売日:2011-01-18
  • ISBN-10:4198630984
  • ISBN-13:978-4198630980
内容紹介:
気力・体力あるうちに、「使う!」だけを厳選しませんか?あふれるモノを片付けて、人生をもっと豊かにする方法。

物を減らせば人生が変わる

肉親が亡くなると、遺産や遺品の整理に一苦労する。たとえわずかな遺産だろうと。マイナスだったらなおさら。当人が財産分与から葬儀の段取りまで、あらかじめ指定しておくのが流行だ。それは自分の死後までコントロールしたい欲望ではなく、たんに肉親の死で味わった苦労を、配偶者や子どもにさせたくないからではないか。

坂岡洋子の『老前整理』は、これをうんと前倒ししてやってしまおう、という本である。死後にやるのが遺品整理、死ぬ前にやるのが生前整理、そして老いる前にやるのが老前整理だ。

整理術や収納術のハウツー本ではない。むしろその正反対。整理術はたくさんある物をどう整理するかという方法である。本書の主眼は物をどう減らすかにある。

著者の経歴が変わっている。もともとはインテリアコーディネーターだった。しかしインテリアの助言をするうちバリアフリーの必要を実感し、ケアマネジャーの資格を取る。高齢者の家が物であふれかえっていることから、「老前整理」を思いついた。なぜ老前整理か。それは老いてからでは手遅れだから。整理には気力と体力がいる。いる/いらない、取っておく/捨てる、を決断するには、かなりのエネルギーを必要とする。元気なうちにやっておきたい。老いるとは、今日できることが明日できなくなることなのだから。

もったいないから捨てられない。ならば新しい物を買ったりもらったりしなきゃいいのに、物は増えていく。そして、物が増えても心はちっともハッピーじゃない。

「捨てれば心も暮らしも軽くなる」と本書はいう。その意味では、ブームになった「断捨離」と似ている。『老いの才覚』(曽野綾子)ほか一連の「老い」本とも重なるところがあるかもしれない。

1月(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2011年)に出たこの本は十万部を超えるヒットとなった。9月には姉妹編の『老前整理 実践ノート』も出た。物を減らして暮らしを変えたい、人生を変えたいと思っている人は多い。
老前整理 捨てれば心も暮らしも軽くなる / 坂岡 洋子
老前整理 捨てれば心も暮らしも軽くなる
  • 著者:坂岡 洋子
  • 出版社:徳間書店
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(199ページ)
  • 発売日:2011-01-18
  • ISBN-10:4198630984
  • ISBN-13:978-4198630980
内容紹介:
気力・体力あるうちに、「使う!」だけを厳選しませんか?あふれるモノを片付けて、人生をもっと豊かにする方法。

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初出メディア

週刊朝日

週刊朝日 2011年10月28日

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