書評

『体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉』(文藝春秋)

  • 2024/01/18
体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉 / 伊藤 亜紗
体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉
  • 著者:伊藤 亜紗
  • 出版社:文藝春秋
  • 装丁:単行本(248ページ)
  • 発売日:2022-11-28
  • ISBN-10:4163916318
  • ISBN-13:978-4163916316
内容紹介:
「できなかったことができる」って何だろう?技能習得のメカニズムからリハビリへの応用まで――・「あ、こういうことか」意識の外で演奏ができてしまう領域とは・なぜ桑田真澄選手は投球フ… もっと読む
「できなかったことができる」って何だろう?

技能習得のメカニズムからリハビリへの応用まで――

・「あ、こういうことか」意識の外で演奏ができてしまう領域とは
・なぜ桑田真澄選手は投球フォームが違っても結果は同じなのか
・環境に介入して体を「だます」“農業的”テクノロジーの面白さ
・脳波でしっぽを動かす――未知の学習に必要な体性感覚
・「セルフとアザーのグレーゾーン」で生まれるもの ……etc.

古屋晋一(ソニーコンピュータサイエンス研究所)、柏野牧夫(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)、小池英樹(東京工業大学)、牛場潤一(慶應義塾大学)、暦本純一(東京大学大学院)ら、5人の科学者/エンジニアの先端研究を通して、「できる」をめぐる体の“奔放な”可能性を追う。

日々、未知へとジャンプする“体の冒険”がここに
体はユルいもの、つまり自分で完全にコントロールできないものだからこそ新しいことができるようになるのだ。テクノロジーと体の関係を見る五つの研究から著者が導き出した結論である。

ピアノ演奏、野球投手の投球、スポーツのコーチング、リハビリテーションなどで、できなかったことができるようになるとはどういうことかを追う。五本の指を入れると勝手に動く装置でピアノの素早い打鍵を体験すると、「あ、こういうことか」と分かってイメージが生まれ、できる可能性が高まる。ここから、筋トレでなく感覚トレーニングの重要性が浮かび上がる。桑田真澄元投手に同じフォームでの投球を求めたところ、毎回フォームは異なりながら常に狙い通りの場所に投げられたという話は、人間の持つゆらぎ・ノイズの意味を考えさせる。数多くあげられる機械と人間との関わりの中から見えてくる人体のもつ可能性は、どれも興味深い。著者は「できるようになる」ことについて考えることで、社会におけるテクノロジーのあり方を自分のこととして考えよう、できるを他人との比較で考えずそのふしぎに関心を向けようと提案する。
体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉 / 伊藤 亜紗
体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉
  • 著者:伊藤 亜紗
  • 出版社:文藝春秋
  • 装丁:単行本(248ページ)
  • 発売日:2022-11-28
  • ISBN-10:4163916318
  • ISBN-13:978-4163916316
内容紹介:
「できなかったことができる」って何だろう?技能習得のメカニズムからリハビリへの応用まで――・「あ、こういうことか」意識の外で演奏ができてしまう領域とは・なぜ桑田真澄選手は投球フ… もっと読む
「できなかったことができる」って何だろう?

技能習得のメカニズムからリハビリへの応用まで――

・「あ、こういうことか」意識の外で演奏ができてしまう領域とは
・なぜ桑田真澄選手は投球フォームが違っても結果は同じなのか
・環境に介入して体を「だます」“農業的”テクノロジーの面白さ
・脳波でしっぽを動かす――未知の学習に必要な体性感覚
・「セルフとアザーのグレーゾーン」で生まれるもの ……etc.

古屋晋一(ソニーコンピュータサイエンス研究所)、柏野牧夫(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)、小池英樹(東京工業大学)、牛場潤一(慶應義塾大学)、暦本純一(東京大学大学院)ら、5人の科学者/エンジニアの先端研究を通して、「できる」をめぐる体の“奔放な”可能性を追う。

日々、未知へとジャンプする“体の冒険”がここに

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2023年2月4日

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